Man On The Dream -4ページ目
港を眺めながら
コーヒーを飲み干した
ここまで歩いてきたうちに
いつの間にか、初恋から遠い場所
指折り数えてみると
いつのまにか別れの数が
出会いのそれよりも増えて
それでもただ真っ直ぐに
生きてゆくことの難しさよ
あらかじめ準備されていた答えを
互いに指でなぞっていただけなのか
それとも分かり合えなかっただけ
半信半疑のまま
あの子にさよならを言ってみる
何一つさよならしてないくせに
そうするしかなかったし
そうすることしか知らなかった
ゆるやかにさよならを唱えながら
乗り遅れたバスと女の子は追いかけてはいけないと
祖母に言われた言葉を
もう一度口の中でかき混ぜてみる
フラッシュバックのような夜に
どうか負けないように
この手に残る小さな火種で
いつかあの聖火台を点せるように
港から吹き付ける強い風に
決して負けないように
握り締めた缶コーヒーを
大きく振りかぶって
穏やかな昨日に投げた
僕は男の子だから
いつか君の前に立って
すっぽりと君を食べてしまうよ
だから安心しないで
このまますれ違ってしまったり
心の腕の中に飛び込んでしまうと
何も考えられずには
いられなくなる
固唾をのむその音が
聞き取られないように
花束の後ろに隠した顔は
そっと重さを増してゆく
砂を噛む思いで
荒れ地に種を蒔いた
まだなにもはじまっていない
砂漠の夜に
大きな嵐が何度もやってきて
強く強く風を吹かせた
たくさんの人がやってきて
砂漠の上を 往来した
蒔いた種のことなど知らずに
何度も何度も夜が来て
星空だけがひとつぶ涙をくれた
地平線の彼方から小さな太陽が
交差点でばったり顔を出す
互いの名前を交わし合って
ひとつぶの種はすくすくと背をのばす
柔らかな朝日を浴びて
一つぶの夢が背を伸ばす
笑顔でまた会える
昨日のうちに
書いてしまおうとした詩を
朝になって忘れた
もう何度目だろう
その詩を思いついた
あの場所へ戻っても
そこに言葉は落ちていない
ただ変わらない街並みと
変わってしまった何かに囲まれる
夕暮れ時に見上げた空の
ちぎれた雲に手を伸ばしたけれど
小さすぎる掌じゃ捕まえきれない
確かそんな詩だった気もする
君が歩くその後ろから
一つづつ花が生まれてゆく
笑顔の花や
涙色の花
全部集めて
一つの花束にしてみよう
なんでもかんでもつめこんだ
重箱弁当みたいに
涙を流して食べてみよう
胃もたれするほどの愛が
胸に染み渡るかい
君のそういうところを
僕はずっとみていた
僕は君が好き、
君が大好き
あなたを愛する歩幅で
あなたが愛してくれて
これ以上のことはないと
もっとちゃんと伝えればよかった
繋いだ手を
け して放してはいけない
何度も何度も繰り返す
それでも帰ってこない
そんな言葉ばかり集めても
あなたは帰ってこない
あなたの幸せを
すべて受け止めてあげることが
出来なくなったこの手が
新しい何かを探し始めている
まだそこには
なにもないのだけれど
降り注ぐ雨が
そっと涙を隠してくれる
あなたの愛と
あなたへの愛に代わるそれを見つけて
あなたではない誰かと幸せになって
いつか幸せ自慢が
互いに出来ればいいよね
君と初めて出会った時
その街の風は優しかった
君の名前を口にした時
ざわついた風が国を通り抜けた
初めて君の手をつないだ時
街の灯りを風が灯した
初めて君の涙を垣間見た時
突きぬける青空の上を風が吹いていた
君と初めて別れたとき
隣で泣いていたのが優しい風だった
君ともう会えなくなった今
風に優 しくしてみようか
どこまで声が届く?
そう言ってあなたは
いち、にの、さん、で飛び出した
時折振り返って
「聞こえる?」って何度も叫んでくれた
どんどん小さくなる後姿
あなたの声も
だんだん遠くなってゆく
そのまま帰ってこなかった
足元の草をむしって
少しずつ風に運んだ
伝えられなかった想いを
紙飛行機に乗せて飛ばした
風に煽られて
落ちてしまったのを
見届けたその時
追いかけてほしかったんだなって
今更になって気づいた
僕はあの時
君にこう言いたかった
その話でさえ もう
忘れてしまった
浮かぶ景色が
遠くなってゆく
君の笑顔も
変わった
あの時の貯金で
生きてきたけど
もうここで使い果たした
また歩き出すため
稼がなければ
ここで生きてゆくのならば
僕があの時口にした
言葉は誰にとっても間違い
時は二度と戻せない
それを教えるために
人は忘れてゆく
何もかも
あなたが好きだ
そう言った瞬間を
いついつまでも忘れずに
生きてゆく
この先もあり続ける
砂漠のような世界の中で
信じてみるものがそれ
これから先の
いつどこであろうと
あなたに出会うその時を
後悔しないために
いかなる瞬間に
あなたと出会っても
眼を見て
笑顔で
好きだと言えるように
生きてゆく

