Man On The Dream -3ページ目

Man On The Dream

日本国は、日本人のもの。

うだるような暑さに負けて

ベンチにへたれ込んでしまった

大切な約束や

僕によく似た背中を

どこかで見失ってしまい

脂汗に嫌気がさす

やけに喉が渇いて

それは夏のせいだなんて

今時誰も信じてくれない

それでも前を向かなきゃならない

自分で決めた約束を

守るために僕は生きる

それでも君と生きてゆくことを

諦めたくはない

それがもし幸せにつながるのならば

僕は喜んで君と一緒に不幸になろう

そんな言葉を胸に秘めて

またあの背中を追いかける

優しさだけは決して忘れないようにしながら

ころころと音をたてながら
君がやってきた
やわらかい笑顔をふりまきながら
そんなに照れなくてもよいのに
カチコチに固まった心を
グラスに注ぐ幾重の言葉が
少しずつほぐしてゆく
すると君はイルカのように
飛び跳ねて笑顔をみせる
それに合わせて僕らも笑う
海に流れるメッセージボトルのように
何かにひかれて僕らは出会った
改めましてこんにちは
よろしくおねがいいたします

目の前の闇を抜ければ

波の音が聞こえる

そしてその先で

大きな光が次々花を咲かせる

予想していたよりも

華やかな光と

腹の底から響く音

次々と形を変えて

僕らを魅了してゆく

打ち上げられる度に

歓声があがり

隣の君は大きく手を叩いて

その光と夏を祝福する

大きなリアクションと

揺れるかんざし

どちらが綺麗かなんて

そんな野暮なことはきかないけど

結論はきっと用意されている

浴衣の裾を払って

楽しかったね、って笑う

この日に君と一緒でよかった

もちろんみんなで居たことも

君がつけた足跡を

ゆっくり辿りながら

忘れ物がないか確かめる

伝え忘れた想いと

素敵な夏を残らず持ち帰りたいから

ハンドル握って

どこまでも

車内のBGMは

いつだって心地よくて

でも君は相変わらずの顔をしている

まるでそれが当たり前かのように

助手席に優しさが置いてある

そんなさりげなさを

日々積み重ねてゆくことで

目に見えるものや

目に見えないものが

今こうしてここにいるんだ

次の角を曲がったら

海が見えると君が言う

その言葉で歓声がおこり

静かにアクセルを踏み込み

また一つ先の未来に向かって

走り出してゆくことはきっと幸せなんだ

久しぶりにきいた

君の声は

やっぱり何も変わってなかった

そう思えた

互いの気持ちを

確かめ合えば

それもまた変わらないままで

何一つ変わらないことを

君は伝えようとしていた

互いの距離を埋めることなく

でも決して離れることなく

僕らは時々連絡を取り合う

どちらからというわけでなく

気まぐれにかけた僕の着信に

飽きもせず誠実さで応える

それでも込み入った話になって

何かを動かそうと

君のところへ足を伸ばすと

君は注意深く

でもさりげなく身を引いてゆく

泥だらけになるのが

なんだか互いに違う気がして

僕は指し手を元に戻す

今はまだ何もないから

このままでいればいい

でも何かあったら

真っ先に連絡しよう

そんな約束を君と交わす

君は約束は必ず守るから

本当に大切なことだけ

しっかりと約束して

あとは静かに黙り込む

そんな君の誠実さが

ふと懐かしくなって

また連絡するはずさ

元気でいておくれ

頼んだよ

笑い合いながら

お酒を酌み交わして

のびのびと笑っている

あなたのことを

少し誤解していた


言葉の端々にできた綻びから

少しずつ弱音と言う名の

本音が顔を出している

そういうところを

あなたは見せてくれた


あんなに張り詰めていた

あなたの姿を

もう見せなくても

大丈夫なのだと

そう思っているのがわかって


歳を少しずつ積み重ねてゆくたびに

僕らはこの世界に居心地を覚えてゆく

そうやってとんがったりつっぱったりしたものが

なだらかに軟着陸してゆく

表情がやわらかくなってゆく


10年余りの時間を使って

あなたとぼくは

意外と似ていることに初めて気づく

あんなに困ったり悩んだりした日々と

同じものをあなたもかつて戦っていたのだろう


なんだか恋に落ちてしまいそうな瞬間を

心の浜辺で感じながら

またあなたの笑顔が浮かぶ

ほんの少し隙のあるその笑い顔に

今夜はこころも溶けてしまいたい

台風が

友達を連れてきた

僕はそれを

迎えにゆく


水は高いところから

低いところへと

流れ落ちてゆく


誰かがまたダムを作って

流れがなんだか急になる

濁った流れで

どう泳いでゆくのだろう


時間が流れてゆく間

彼にもいろいろあった

それと同じように

又はそれ以上に

僕もいろいろあった


なんだかわからないけど

どうしても僕らは

時々刻々と変わってゆくらしい

だけどもこんなにも

笑い合えるんだ

こんなに久しぶりなのに


強い風が夜の街を

ごうごうと吹き荒れる

静かに灯した明かりの下

座敷でゆっくり

積もる話をはじめよう

明日をそっと迎えるために

逃げる気持ちと

向かう気持ちはとても似ている


立ち止まってしまうことと

目の前で足踏みをすることはとても似ている


目の前の扉を

押し開けることから

逃げだそうとしている気持ちと

向かってゆく気持ちが混ざり合って

でもそこに

時間はたしかにすぎてゆく


なにかを飛び越えるために

誰かの言葉や

漫画を支えにして

自分の腹をくくって

頭の中を集中させてゆく

それが単純と呼ばれるのならば

単純な頭に生まれて本当に良かった


まっすぐな心は

まっすぐな言葉を吸い込んで

まっすぐな道を歩こうとする時に

まっすぐ背中を押してくれる


誰かにもらった優しさを

しっかりと受け止めて

次はそれを誰かに渡せるようになろう

それが今の目標

それこそがこれからの目標


なんて

愚かで素晴らしいことなのだ

あんなに遠くに

街の灯が揺れている

夕焼けと同じ重低音が

心の奥底を揺さぶってくる


あの街に帰りたい

吸い込まれるように

手を伸ばしてみる


エアーズロックの星空

メルボルンの夜景

横浜の夕暮


いつでもそこに僕がいて

でもどこにもいない感覚

ひとりぼっちになりたいけど

隣に誰かいてほしい気持ち


思いっきり抱きしめたまま

もっと大きななにかに抱きしめられたい

それは光や命に限りなく近いもので

僕らはそれを愛と名付けた

いま見える場所の

もう少し先へ

わたしを連れて行ってよ


そういってあなたは

しゃがみこんだまま

ほそく白い腕をさしだす


目線を合わせて

強くうなずく

その視線が

未来を指し示している


その手をつかまえて

ぎゅっとにぎりしめて

えいやっと引き上げる


立ち上がったあなたの手を

もう一度握りなおして

気持ちがそっと伝わりますように


その手を握りなおして

その瞬間がかけがえなくなりますように