$無血革命

沢尻エリカ主演の映画『ヘルタースケルター』を観にいってきました。

監督が写真家の蜷川実花だけあって、すばらしい色彩美です。
前作の『さくらん』も極彩色の絵巻を見ているようでしたが、今作はアーバンなグラビアや写真集を見ている気分でした。

ポップな小物やカラフルでやわらかい光のキラキラが目にたのしいです。
赤い薬とかりりこのマンションの色とりどりのドアがかわいい。

ストーリーのテンポとしてはやや間延びした感もありますが(特に大森南朋のセリフとか)、桃井かおりと水原希子は安心して見ていられました。画面での存在感がハンパないです。
桃井かおりが足元でヒール転がして履きながらしゃべるところとか、桃井かおりじゃないとできないんだろうな。演技が自然すぎて水みたいでした。

寺島しのぶもいい女優さんなんですけど、なんだかかわいそうでした。
かわいそうな女の役なんですが、役を超えてかわいそうでしたね。もし演技の実力がすごすぎてそう思わせているんならたいしたものです。
なぜあの地味で年増のマネージャーが金髪のヤンキーと交際しているのか違和感がすごいです。とにかくかわいそうだから観てください。

でもやっぱりこの映画の一番すごいところはエリカ様が途中でほっぽりださずに役を演じて映画を完成させたところですね。終わったとたんに休業してたみたいですが、エリカ様が2時間の映画を一本やりきったんだから10年くらい休業して当然です。

りりこはエリカ様じゃなければできないですからね。エリカ様が途中で飽きちゃったらパリス・ヒルトンとかリンジー・ローハンとかを代役として連れてこなきゃいけませんから。
途中からりりこを演じているエリカ様というよりエリカ様を演じている沢尻エリカのような気がしてきました。はまり役だと思います。

はまり役といえば、りりこの妹役の子はよく探したなってくらいの逸材ですな!
日本にああいう女優さんがいるなんて女優を目指す人たちにとっては希望の星ですよ。
これからもいろんな作品のはしっこに登場していただきたい。

音楽もよかったです。特に戸川純の蛹化の女は狂った女の哀愁にしっくり馴染んでいました。
前作でも林檎さんを起用してくれましたし、蜷川さんとは趣味が合いそうです。

安野モヨコ、岡崎京子ときて次はどの漫画を実写化してくれるのか、今から次回作がたのしみです。