
8月6日は「広島原爆忌」。
広島市長
松井一實氏
「核による威嚇を行う為政者がいるという現実を踏まえるならば、世界中の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視し、私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取組を早急に始める必要がある」
広島で行われたG7サミットから2カ月半。広島市中区の平和記念公園には、連日、国内外から多くの人が訪れているそうです。
今、公園内にある広島国際会議場では、原爆資料館を見学し、被曝の実相に触れた各国首脳らが記帳した芳名録が一般公開中です。
バイデン米大統領は「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう」と記しています。
若い世代に、いかに被爆体験を伝え、人類の生存の権利を奪う核兵器を許さないとの意識を共有するか。
核を巡る国際情勢が混迷を深める今こそ、市民社会からの一層の後押しが求められるのではないでしょうか。
広島大学平和センター
川野徳幸氏
「若者が平和を語ると青臭いと思われがちですが、そういう対話が大切。人類の未来のため、核兵器廃絶という理想を諦めない若者の存在は、ますます重要になってきます」


井伏鱒二の小説『黒い雨』は、原爆という未曽有の惨事を、庶民の暮らしの中に描いています。
あらすじ
話は主人公・重松が憤る場面から始まる。めい・矢須子の見合いが「広島で被爆した」との流言によって破談に。「人の噂だけで業病扱いするとは何ごとか」。重松は当時の日記の写しを縁談先に送り、潔白を証明しようとした。
だが、日記を清書するうちに放射性物質を含む「黒い雨」を矢須子が浴びていたことに気付く。その後、原爆症を発病。「五彩の虹が出たら矢須子の病気が治るんだ」―かなわぬ願いを重松が抱いて小説は終わる。
平和のためのヒロシマ通訳者グループ代表
小倉桂子氏
「G7サミットで各国首脳に話しました。"助かって良かった"と言っていた人が、怪我もしてないのに亡くなる。数日のうちに亡くなる人もいれば、10年後に突然、白血病で亡くなる人もいる。ーこの恐怖こそ、核兵器の残虐さを表している、と」
被爆者の方々が異口同音にして訴えるのは「二度と同じ過ちをおかしてはならない」ということ。そして「こんな苦しみを誰にも味わわせたくない」と。
平和とは、人と人とが信頼を結ぶこと。世界平和といっても、その実像は日常の中にあるのではないでしょうか
