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今年の秋に全国公開されるアニメ映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』。
TM Networkの「Get Wild」がエンディング曲に決定していましたが、アニメーションを担当するサンライズがTMのアーティスト画像を制作してくれたようです。




ドラマーは山木秀夫さん

□曲の構成
「Get Wild」(オリジナル)は、このような構成になっています。
サビのメロディを使ったイントロ①から始まり、イントロ②と同じパターンでAメロにつながります。そしてBメロ、サビへと進み、イントロ②からサビまでが繰り返され、そこから半音上がって間奏②、サビ、フェード・アウトという流れです。
ここで注目したいのがBメロです。作詞の小室みつ子さんが「哲ちゃんのグルーヴ感を残せた」という英詞の疾走感が、独特のベース・ラインと相俟って「Get Wild」のおいしいところになっています。
また、一般的な楽曲は8小節単位で進行していくことが多いですが、Bメロだけ10小節になっています。
□調(キー)と転調
曲中に主音となる調(キー)が変わることを転調と言いますが、小室さんは、これをうまく取り入れて多くのヒット曲を生み出してきました。「Get Wild」も、この転調が効果的に使われています。
下の図をご覧ください。先ほどの図を調(キー)別に色分けしてみました。
この図からわかるように、Aメロ、Bメロは同じキーですが、サビで転調、間奏①でキーが戻って2番のAメロ、Bメロにつながり再びサビで転調します。そしてキーが半音上がっている青色部分は間奏②から終わりまで続いています。
それぞれ色分けしたセクションで使用する鍵盤に印をつけるとこのようになります。キーが異なるため使用する鍵盤も異なるわけです。
▲ Aメロ、BメロのBmキー
▲ Cメロ(サビ)のG♯mキー
▲ 後半のCメロ(サビ)のAmキー
「Get Wild」のサビのコード進行(メジャー・キーにするとⅥ - Ⅳ -Ⅴ-Ⅰ)は、これ以降のJ-POPシーンに多大な影響を与えた"小室進行"と言っても良いでしょう。さまざまな曲で使用されていますよね。
もうひとつ凄いのは、サビ・メロディのシンプルさ。(キー=Amだと)「げっ」がアウフタクトで、「わい・えん・たん〜」がミ・レ・ド〜で「ひ、とりでは〜」がミ、レドドド〜と、メロディがたった3音だけで出来ています!
しかも、「りでは〜」のドドド〜って同音連打が、小室さんらしい(笑)その後もファが1回出てくるだけ…Simple is best !の模範ですね。
あと、メロディの符割り的には、Aメロ、Bメロ共に16分音符や付点フレーズと、8分音符の羅列フレーズが交互に散りばめられ、そして、サビの4分音符のインパクト!
「Get Wild」は、絶妙なフラクタル構造を持っていて、小室さんの聴く者を飽きさせないおもてなし感が満載だと思います。
□象徴的な音色
「Get Wild」を象徴する音色を列挙してみましょう。
- イントロの効果音「キーン」
- イントロでサビのメロディを奏でるハープ系音色
- キックとタムのみのドラム・パート
- ユニゾンで鳴るFM音源のベース・ライン
- Aメロのクラビっぽい撥弦系音色のコード弾きシーケンス
- サスティン短めのBメロの16分のシーケンス
- サビ前に駆け上がるシーケンスとギター・カッティング
- 転調後からアウトロにかけてのギター・ソロ
- ライヴやリミックスで聴くことができるボイス・サンプル・トリガー「ゲ・ゲ・ゲ・ゲ・・・」
…挙げるとキリが無いのでこのぐらいにしておきましょうか



