【Covid-19（新型コロナウイルス感染症）の克服へ向けて】
米コロンビア大学医学部
感染症内科学
辻守哉 教授
● つじ・もりや（1958 - ）
東京慈恵会医科大学を卒業後、東京大学大学院で博士号を取得（免疫学）。87年に渡米。ニューヨーク大学准教授、ロックフェラー大学エイズ研究所教授を経て現職。
千葉大学客員教授、東京慈恵医科大学客員教授を併任。マラリアやエイズなどのワクチン開発で、医学界から高い評価を得ている。
■ アメリカ人の危機意識に変化が
辻教授：
活気にあふれ、にぎやかなニューヨーク市が今や、残念ながら、ほぼゴーストタウンと化しています。
痛ましいことにニューヨーク州では、連日700人以上の尊い命が新型ウイルスの犠牲になってきました。
しかし、州と市のイニシアチブによる徹底したソーシャル・ディスタンシング（社会的距離）の要請が奏功し始め、新型コロナウイルスの患者数はピークを過ぎつつあります。
🇺🇸NYタイムズスクエア（４月）
AFP
私が感心しているのは、自由と多様性を好むニューヨーク市民一人一人が非常時を自覚し、一致団結し、不必要な外出をしっかり控えていることです。しかも、こうした行動はニューヨークだけではなく、アメリカ全土にわたっています。
現段階では、どの専門家にも、感染拡大の終息を予想することは極めて難しいといえます。治療薬が見つかる可能性を考慮しても、終息には半年から１年以上かかるかもしれません。
少なくとも、市民が歯を食いしばり、一丸となってソーシャル・ディスタンシングを忠実に守り続けることが必要条件でしょう。
■ 研究者たちの奮闘
私の研究室は今年初め、コロンビア大学医学部に移りました。COVID-19（新型コロナウイルス感染症）の終息を目指し、大学内の一流研究者グループとチームを組み、新型コロナウイルスに関する免疫学的・ワクチン学的研究に従事しています。
何としても半年以内に成果を出そうと決意し、週末も休まず、寝る間を惜しんで研究活動に集中しています。
通常、ワクチンが市場に出るまで５〜15年かかりますが、実用化には、人への臨床試験を行い、その安全性と効果を明確にすることが必須です。それには長期のモニタリングが不可欠です。
前列のない速さで、おそらく１年〜１年半で開発されるでしょうが、その安全性と効果が曖昧のままに使われる可能性があり、かえって危険だと思います。
一般の市民は「ワクチンがあるから、もう大丈夫だ」と安心し、外出し始めてしまう。新型コロナウイルスの蔓延を再び加速させることが強く懸念されます。
■ 今後の展望
既存の薬の中から、効果のある薬を探すことは賢明なアプローチだと考えます。人への安全性が確立されているからです。
ただし、COVID-19にどれほど効果があるのかについて、信頼性のある臨床試験で実証しなければなりません。
最終的には、患者の症状に応じて、治療薬や免疫治療剤、ワクチンなどを使い分けるのが望ましいと考えています。
新型コロナウイルスとの闘いはマラソンに例えられますが、私にとっては時間との戦い。「不可能を可能にする」挑戦なのです。
■ 困難を克服するには
人道的な見地から、私たち研究者は今こそ、「何のために研究しているのか」を自らに問う必要があるでしょう。研究者一人では大事を成し得ません。研究者間の連帯が必要です。
医療従事者や研究者に限らず、誰もが新型コロナウイルスと闘わなければなりません。その際、最も大切なのは「思いやり」「責任感」、そして「団結」でしょう。
私たちがどう行動するかで、今後、ウイルスに勝てるかどうかが決まります。日本でも、一人一人が他者を家族のように愛し、敬うことができれば、「不要不急の外出をしない」という義務を果たし、COVID-19の拡大を早期に終息させることができると確信します。
『聖教新聞』４月22日付より抜粋
🇬🇧The Style Council
I could runaway but I'd rather stay
（僕は逃げ出せたかもしれないけれど、それより頑張りたい）
In the warmth of your smile lighting up my day
（君がそうやってにっこり笑ってくれたら、一日中幸せでいられるよ）
The one that makes me say
（こう言いたくなるんだ）
'Cause you're the best thing that ever happened to me or my world
（君に出会えたことが、僕の人生で一番嬉しいことなんだ）
You're the best thing that ever happened, so don't go away
（君は他のこととは比べられない。だから、どこへも行かないで）
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