TM Networkの楽曲解剖(1985)
🎹参考資料「Keyboard Magazine」
No.386  杉山泰 氏

😃TM楽曲の魅力&秘密に音楽理論で迫る企画の第2弾❗

🚀1985年にタイムスリッ〜プ🔻


史上初のパーソナル・コンピューター制御によるレコーディングを成功させデビューしたTMでしたが、セールス的には大コケ⤵︎😵

マニピュレーターの小泉さんはヨーロッパに飛び✈️新たなサウンドへの感性を磨き帰国、レコーディングに突入しました。

2nd アルバム
💿『Childhood’s End』
6月21日リリース

  1. CHILDHOOD’S END
  2. ACCIDENT
  3. FAIRE LA VISE
  4. 永遠のパスポート
  5. 8月の長い夜
  6. TIME
  7. DRAGON THE FESTIVAL
  8. さよならの準備
  9. INNOCENT BOY
  10. FANTASTIC VISION
  11. 愛をそのままに

●宇都宮隆(ヴォーカル)
●木根尚登(作曲、ギター、キーボード、コーラス)
●小室哲哉(作詞/作曲、キーボード、コーラス)
●小泉洋(PCオペレート、マニピュレーション)
●山田ワタル(ドラム)
●村上ポンタ秀一(パーカッション)
●久保Cozy(PCプログラミング)

小室哲哉
「今すぐ売れなくても、末永く評価されるEver Greenな作品になっているはず」

3rd シングル
💿「アクシデント」
5月22日リリース
…小泉さんがヨーロッパの旅で学んだ生オーケストラの"色気のあるサウンド"をシンセサイザーで表現。圧倒的な"音の艶"を堪能できる楽曲です😃





🔻解説
イントロ
E→F♯→B→G♯m
(Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ→Ⅵ)
B × 4小節
(Ⅰ)

イントロは循環コードですが、歌に入る前にB(Ⅰ)のトニック・コードが4小節入ります。

Aメロ
G♯m→E/G♯→F♯/A♯→B

Aメロに入ると平行調のG♯mキーになり、リズムと音数が少なくなり、メロディもマイナー感が強調されています。

しかし、4小節目がB(Ⅰ)のトニック・コードになっています。これにより平行調のメジャーとマイナーを行ったり来たりして、両方の特徴を引き出しています。

サビ
B→D♯/G→G♯m→B/A

サビで、G♯mが、よりマイナーな切ない響きを伴うのは、イントロからAメロのマイナー感が、既に聴く人の感覚にあるからなのです。

♬「永遠のパスポート」

…アルバム収録曲。1994年の終了コンサートで演奏されました😃

イントロは、Bメロで使われるラインから始まります。続いてサビのメロディの裏に流れるカウンター・メロディが出現。Bメロから始まる曲💦…他にあるでしょうか⁉️

TMの曲は、クラシックの組曲的な要素があり、プログレッシヴ・ロックに通じる感覚があります。

😃また、その特徴的なベース音色について小泉さんは語っています👇

小泉洋
「膨らみのある暖かい音が好きだったから、SynthBass に関しては DX7 は使わなかった。DX7 使うと芯は出やすいんだけど、無機質になるような気がしてね。たしかあの頃は、Oscar のデジタルの部分と OB-8 を混ぜるのが多かったかな」

🇬🇧Oxford Synthesizer Company
Oscar…1983年発売のハイブリッド・モノフォニック・シンセサイザー。
🇺🇸Oberheim 
OB-8…1983年発売のアナログ・ポリフォニック・シンセサイザー。
😃小室さんは、今まで作った音色で一番好きな音色に"「永遠のパスポート」の間奏キーボード・ソロ"をあげていました。これはOB-8による演奏です。

小泉洋
「音楽ってつまるところ “感動” じゃない?理想論としては、音色があってフレーズがあって、それを弾いたときに、鳥肌が立ちたいというか…。それはいつも思っているから、なにかしらのタイミングでなにかとリンクすると、自分の中で貴重な “響き” になるかもね」

4th シングル
💿「Dragon The Festival(Zoo Mix)」
7月21日リリース
…アルバム収録曲のリミックスVer.の12インチ・シングル。

on TV

TM初のライブ・ツアー『Dragon The Festival Tour』全8公演
9月27日〜10月31日
サポート・メンバー:
●松本孝弘(ギター)
●西村麻聡(ベース)
●山田ワタル(ドラム)
●白田朗(キーボード)



小泉洋
「本当に冷や汗かいたトラブルは1回だけだったよ。データーが飛んじゃったんだね。演奏中に。でも…やっぱり若かったんだね。前もってワタルちゃんに『何かあっても16小節以内に俺が合わせて復帰させてみせる!』って言ってあったの。

突然、曲の途中で同期が止まっちゃって生演奏だけになって。急にクリックが止まったからワタルちゃんも『何かが起きてる…何かが起きてる…』って思いながらドラムを叩いてて。でもそこでワタルちゃんと目を合わせてて、2番の頭からぴったりポン出しで乗り切ったの。

つまり、データーを再度読み込んで、2番の頭まで移動させてワタルちゃんのドラムに合わせてマニュアル・スタート!あとでワタルちゃんと2人で盛り上がったね。『凄かったねー、目配せで分った?』『分ったよ!』って」

💿5th シングル
「Your Song("D"Mix)」
11月1日リリース
…アニメ『吸血鬼ハンター D』の主題歌として初のタイアップ曲。E-MUのEmulator Ⅱのサンプリング機能を駆使した12インチ・シングル。

🇺🇸E-MU 
Emulator II…1984年発売の8ヴォイス・サンプラー。高額な「Fairlight CMI」を身近にした名器。
…右奥が小室さんの同級生でマニピュレーターの小泉洋さん。

💿ミニ・アルバム
『Twinkle Night』
11月28日リリース
  1. Your Song
  2. Vampire Hunter D Suite
  3. Twinkle Night
  4. Electric Prophet

●宇都宮隆(ヴォーカル)
●木根尚登(作曲、ギター、キーボード、コーラス)
●小室哲哉(作詞/作曲、キーボード、コーラス)
●小泉洋(PCオペレート、マニピュレーション)
●北島健二(ギター)
●小池光夫(ミックス)



惜別…Childhood’s End😭

小室さんと高校の入学式の日から二人三脚で歩んできたマニピュレーターの小泉洋さん。

1985年、小泉さんはLookというバンドを手がけ大ヒットを飛ばします。



それまでTMのために、全ての機材を個人で投資💸していた小泉さんは巨額の借金を返済できたといいます。

一方、TMのセールスは鳴かず飛ばず…

小泉洋
「一度哲っちゃん家の前を車で通ったら、ちょうど家の前に止まってた車に
木根と2人で乗ってるのが見えたからさ、止まって声かけたら無視されたの憶えてるよ。そのまま黙って車走らせちゃってさ」

1986年、「Fanks!」という新たなテーマを掲げてスタートするTMに、"マニピュレーター小泉洋"の姿はありませんでした。

TMはChildhood’s End(幼年期の終わり)をむかえていたのでした。