そういえば中学生のころ、山下久美子をよく聴いていたなあと思い出し、超久々にYouTubeで聴いてみたんだが、なんだろう。
当時、一番好きだった『So Young』はあまりにも“佐野元春”すぎて、ちょい痛めの女子がカラオケを唱っているようにしか聞こえない。
『シャンプー』も、たまたま後年の動画だったからなのか、情感を込めすぎていてなんかクセぇし……。もっとカラっと歌ったほうがカッコいいと思うのだが。
それでも当時はこれらの楽曲が好きで、その後に『赤道小町ドキ!』が化粧品CMとのタイアップになると知って「いよいよ僕の好きな山下久美子が広く世間に認められる時が来た」なんて思っていたのだが、いざ聴いてみるとあまりにもアイドル歌謡みたいな楽曲で「?」と。
さらに続くシングル曲『マラソン恋女』でも「???」って感じで、それ以降は山下久美子への思いが冷めていった。
……というふうに記憶していたのだが、その後のシングル曲『こっちをお向きよソフィア』は結構好きだったし、今聴いてもカッコいいし、なんか記憶が入り乱れてるなあ。
もう40年以上も前のことだから仕方がないのか。
ところで『シャンプー』の動画を見たときに、もともとはアン・ルイスが歌っていたものだと今更知った。
アン・ルイスに関しては、ロック調に転身したころは、ベストヒットUSAに夢中だったので現役では通っていない。
ただ後になって『あゝ無情』や『WOMAN』を聴いて「いいなぁ」と(『六本木心中』はあんまりだったが)。
ちょっとだけテンポを速めれば、今だって十分にカッコいいでしょう。
『女はそれを我慢できない』もいいねぇ。
歌謡曲時代の『グッド・バイ・マイ・ラブ』は私自身、何度かカラオケで歌ったような記憶もある。
山下久美子とアン・ルイス、自分で作詞作曲するのではない純シンガーということでは同じで、歌い手としての力量についてどちらが上かというのはよくわからないが、今となって聴くぶんには断然、アン・ルイスのほうがいい。
だからなんだって話なのだが、「思い出補正」よりも楽曲のよさが上回るのだなあ、とちょっと不思議な気分だったりもする。