吉住のR-1、1回戦のデモを題材にしたネタが、その界隈の人たちから非難されてるとか。

 

R-1グランプリ、吉住の『デモ活動』ネタ、SNSでは賛否「デモに対する偏見」「こんな政治でも黙ってる今の日本を象徴」:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp)

 

 私としては「へー」って感じ。

 題材がどうなの?っていう点では私も批判者たちと同様なのだが、その見方の方向はまったく異なる。

 

 デモ参加女性には、今回の吉住が演じたよりもずっと妙ちくりんな認知の人間が多数いると思っているので、それにしちゃあ弱くない? むしろデモに好意的すぎるんじゃないの? というのが私の捉え方。

 デモぽくするなら、木製の看板が台座つきで、そこに直接印刷した文字ってのがまずあり得ないし(まあコント中に立てておきたかったというのはあるんだろうが、台座はなくてもやりようはあっただろうし、やっぱプラカードは手書き文字でしょ)、服装のワンピというのもどうなのか(彼氏の自宅訪問には正装をという常識があるなら、会話でもそこまで変なことは言わないだろうってのもあるし。

 ちゃんと確認したわけではないのだが、お土産で「甘いモノ」としてもってきた包み紙の破れたところから「ゆかり」の文字が見えたような気がして、そこもちょっと萎えた。「ゆかりは海老せんべいだろう」って。

 

 吉住のネタって、ちょっと変な女子が自分流の恋愛を過剰に語るという質のものが多く、今回についても「あー、またこのパターンか」ってくらいのところもあったのだが、「変な人を演じるにしては掘り下げが足りないんじゃない?」「一般に通じさせるために“変さ”をマイルドに抑えなきゃならないんなら、もっと別のネタを選べばいいじゃん」みたいな。

 

 つまり、社会的にかなり異質な人を扱うには、今回の吉住ぐらいの切り込みかただと甘いんじゃないか、と。

 たとえば主役に生来の難病患者を持ってきて、それを表層的にいじっているだけみたいな心地悪さがあって「嫌なネタだなあ」というのが私の感想。 

 

 まあもともと、吉住はメンヘラとかをネタにしてきたわけだから、本人にしてみればこれも同一線上のネタなんだろうとは思うが、私としては好きじゃなかった。

 メンヘラなどのパーソナルに帰することならどのような描き方をしても「そういうのもあるかもな」となりそうだが、今回のネタはデモ参加女性の類型を表面的になぞっているだけのように見え、浅いなあと。

 

 だから、吉住のネタについて「デモをバカにしている」と批判する人間に対して、逆に「吉住のネタはすばらしかった」なんて反発する声を見聞きするのも、個人的には「なんか違うなあ」と思ってしまうんだ。

 

 

 それよりはもっと最初の発想のところからイカれていた、かつてW-1でやった女性審判みたいなやつのほうが私は好き。

 そんなふうに思って、なんとなくネット検索したら↓こんな記事が。

 

「THE W」吉住の女性審判ネタを見た〝本物〟の感想、聞いてみた (withnews.jp)

 

 この女性審判の人はしっかりしてるね。

 現実とは違うとしながらも、ネタはネタとして受け止める。

 あたりまえのことのようでいて、それができない人のなんと多いことよ。