M-1終わりの千鳥MのYouTube番組で、さや香の新山が最終決戦の「見せ算」のネタについて「あのネタをやりたかった」「あのネタありきのM-1だった」みたいなことを言っていて、なるほど、と。
新山とて、ふつうにみんなが思うようなさや香っぽいネタを演じれば、優勝の可能性は高いというのは重々承知のこと。
しかし、勝ち負けを度外視しても、とんがった、自分のおもろいと信じることをあの舞台でやりたかったというわけだ。
だからといって「新山カッコいい」とか「改めて思い返すとあのネタおもろかったなあ」なんてことは思わないんだけども、とにかく「なるほど」と。
なんとなく気持ちはわかる。
みんなが「さや香っぽい」と思うネタをやって優勝すれば、それがさや香の色として定着する。
だけど、それはあくまでもM-1仕様のネタであって、本当の自分(自分たち?)はもっといろいろな違った色があるんだ。
銀シャリやパンクブーブーみたいに「漫才が上手いだけ」みたいに見られるのは芸人として嫌なんだっていう。
これは別に銀シャリらをバカにしたことではなく、目の前にぶら下がっていた1000万円の賞金と引き換えにしてでも、自分のいろんな色を認知してもらいたいというさや香・新山の芸人としての欲ってことなんだろう。
そしてそれはある程度成功したように思う。
少なくとも私は、新山の話が聞きたい一心で千鳥のやつや、昨日のM-1翌日特番も見たわけで、印象度でいえば優勝した令和ロマンを大きく上回っている。
とはいえ、あの「見せ算」のネタをつくったのが観客向けではなく仲間を笑わせたかったからという理由は、ちょと芸人としてはどうなのかなっていうのはある。
さらにいうと、私としては新山の通した我がまま自体はそんなに面白いと思っていないので、やっぱり私の好みに合った漫才をしっかりやりきってくれた敗者復活のロングコートダディやエバースのほうが好きだし、今後についても豪快キャプテンやバッテリィズのほうが興味深かったりはする。