「笑えなかった」ってのは年寄り臭くてあんまり言いたくないんだけど、正直なところファーストラウンドでまともに声を出して笑ったのってヤ―レンズと、ダンビラムーチョのマライヤ・キャリーのくだりだけだったのさ。

 そのヤ―レンズだって、それまで1本調子のネタが続いていた中、テンポの良さが際立ったことが高評価になったんだろうから、出順に助けられたところが大きかったように思うし。

 

 それでも最終決戦に進んだ3組は全体のなかで頭一つ抜けていたように思うので、そこに文句はないのだけど……と書いているそばからさや香がとんでもねえ自爆をやらかしやがった。

 どうした?

 ふつうのネタやれば優勝決定みたいな空気感だったのに。

 これだったらまだ伝説の「からあげ4」のほうが良かっただろ。

 

 そのさや香の1本目にしても明らかに去年よりはデキ悪だったし、カベポスター真空ジェシカモグライダーもそれは同じ。いずれも前回決勝進出時のデキにはなかったように思う。

 

 一番イラっとしたのはくらげで、いやあのネタ自体はおもろいと思うんよ。

 だけどさあ。

 ああいうのって、決勝の審査員はみんながすでに通ってきた道というか、芸人なら誰もが一度は考えるネタだろう。

 そういうのをなんで決勝に上げちゃったかなあ。

 低評価になるのはわかりきってるじゃん。

 どれほど準決勝の会場でウケたのかは知らんけど、あれはないわ。

 

 敗者復活、いや3回戦レベルでも、もっと活きが良くて新鮮なコンビがいくらでもいたのに。

 予選の審査員が今回から変わったと聞いたが、そいつらがダメダメなんだと思う。

 きっと独自の笑いの方程式みたいなものも、先見の明もないんだろう。

 

 ただ単にその日の会場ウケだけで勝ち上がりメンバーを選ぶのなら、それこそABEMAの笑ラウドネスみたくAI判定にでもやらせればいい。

 

 そんななか、ネタやふるまいに新味が感じられた令和ロマンが優勝したことで、ギリギリM-1の価値が守られたっていうのが今大会全体の印象かな。

 堂々とした落ち着きぶりも大したもんよ。

 

 ただホント、今回の低調M-1については関係者一同、猛省してもらいたい。