経営のプロ「コンサル会社」の倒産が急増  ~ コロナ禍での政策支援と「本物を求めるニーズ」のはざまで ~(東京商工リサーチ) - Yahoo!ニュース

 

 いつごろだったか忘れたけど、以前に「東大生の就職希望先のトップがコンサル会社だ」なんてことをテレビでやっていて、それに対して当ブログで批判したことがあった。

「そんな虚業ではなく実業をせよ」「官僚なりなんなり、自力で国を良くする気概を持ってほしい」」というのがざっくりとした主旨であったように記憶している。

 

 コンサル会社も「契約する企業をよく導くことで、日本経済を活性化させる」なんてことは言えるのかもしれないが、この場合、最優先されるのは「自分たちコンサル会社」で、次がコンサル先の企業。その次が社会貢献みたいなことになるわけで、そんな仕事を日本の最高学府の人間が志すというのは実に嘆かわしいことだ。

 

 だいたいコンサル会社にとっての契約会社なんてものは、しょせんは他社であって、究極のところでは実際の経営がどうなろうと関係ない。

 10社コンサルして1社でも業績を伸ばせば、それを業績として誇っておけば、次の仕事につなげることになる。

 株やFXなどの投資アドバイスや競馬などギャンブルの予想屋とやっていることはたいして違わない。

 

 コンサル会社に言いたいことは、予想屋に対するものと同じ。

「儲かるんなら自分でやればいい」に尽きる。

 

 儲かる手法がわかっているなら、その業界に身を投じ、1社員からコツコツと働きながら実績をつんでいく。

 そうしてこそ大輪の花を咲かせることができようというものなのに、その手間を惜しんで、いきなりコンサルタント業務をしようだなんて性根がよろしくないと私としては思う。

 

 そんな会社の根源のところに備わっている無責任さ、いい加減さ、うさんくささを多くの会社が理解するようになったということなのだろう。

 よそにコンサル代を払うぐらいなら、コンサルに相当する調査部門を会社内につくるほうがよほど正当だし、効果も見込めるはず。

 自分の所属する会社をよくするために、より前向きかつ親身に研究努力をしてくれるだろう。

 逆にいえば、コンサル会社に依頼しても業績が上がらないといったことは、自社で人材を育成するための投資を惜しんでしまった会社側の責任だともいえる。

 

 

 同根の問題が、NHKの取材情報漏洩問題にもあったように思う。

 

NHK 取材メモのネット流出認め謝罪「子会社が契約している派遣スタッフが流出」人物特定「深くお詫び」― スポニチ Sponichi Annex 芸能

 

 他社の派遣社員なんぞ、本音のところでいえばNHKなんてどうなったところで構いはしない。

 

 NHKなどマスコミに限らず、当今は多くの企業でかなりの部分を外部委託している。

 自営業の私もそのおこぼれに預かっている身だから言えた義理ではないのだが、本音をいえばやっぱり「長く付き合ってくれそうな相手」や「ギャラのいい相手」との仕事は真剣に臨むが、そうでないところが相手の時は「次につなげたい」という強い動機がない場合、どうしてもやっつけ仕事になりがちだ。

 

 そういう外部委託によるやっつけ仕事を避けたいのなら、完全雇用をすればいい。

 かつて日本企業が飛躍した最大の要因は、完全かつ終身雇用が当たり前だったからこそ、社員が所属企業のことを「自分の会社」だと強く認識して、まるで家族の一員であるかのような心持ちで働いた結果だと、私は考える。

 

 自分がその会社と一生付き合うつもりで、会社もそれを約束してくれている。

 他国の人間はどうか知らんが、日本人は「主君に仕えることの美徳」を歴史ドラマなどによって幼き頃から半ば常識として身につけてきたのだ。

 

 「会社のために」と悪事に走るケースばかりがニュースになるが、それは珍しいからニュースになるだけのこと。

 高度成長期の頃、多くの日本人は「自分たちの会社が『正しく』成長し、その会社に属する自分も世間から尊敬される」ことを強く求めてきたはずだ。

 

 不祥事のリスクと、完全雇用による経費増。

 どっちを選ぶかについてはいろいろな考えもあろうが、最終的に勝ち残るのは後者であると、私は信じている。