きのうはとにかく藤井聡太の八冠達成。
夕方からしか見られなかったが、二転三転するAI評価値に一喜一憂しながら、それでも藤井の勝利を信じていましたよ。
ところで、我々はAIの評価値を見ているから「二転三転」などというのだけれど、対局していた当人たちの本音はどうなんだろう。
なんとなく藤井は終始劣勢と考え、永瀬は終番まではずっと「指せている」と感じていたようにも思えるのだが。
まあそのあたりは、終局後のインタビューでどちらも本音を話すとは限らないので、観客席の我々にはどうとも判じられない。
永瀬はこの王座戦の全戦において、一度はAI評価値的に「勝ち確」のような状態があり、今回敗れたとはいえ現段階で藤井の最大の障壁となるのは永瀬なんだろう。
AIの指さないような、藤井から見れば奇手、永瀬からすれば研究手。
そのような指し手でリードを強引に作り出し、そこからミスなく攻め切るというのが現段階における打倒藤井の最適解なんだろう。
先日もちょっと触れたが、伊藤匠のような「最新研究」では藤井の上に行くことはできない。
なぜならその道は、藤井が先頭を最速で走り続けているのだから、同じ道を行って抜き去ることはおそらく無理。
ただし永瀬のように研究手でリードを奪ったとしても「常にミスなく」というのが最難関で、そうすると結局は、一局だけなら勝つことができても、タイトル戦の番勝負を勝ち切る棋士が登場するとは当面は考え難い。
永瀬が常人離れした鍛錬でさらに鍛え上げれば「あるいは」といったぐらいか。
こういう言い方は善人善女のみなさんはあまり好まないようだだが、やっぱり藤井が強いのは、もともとのスペックが違うのだと思う。
藤井と同じ、あるいは藤井以上の努力をしたとて、今の棋士では藤井に勝てないんじゃないかな。
藤井のほうが、もともとの頭のデキがよくて強いから。
スポーツやルックスなど見た目ではっきりしているものについては、多くの人がすんなり「生まれつき」を認めるが、なぜか頭脳については「努力でなんとかなる」なんて言う人が多いような気がする。
だけど遺伝など生来の要因は、知能の面においても確実にある。
藤井と我々は、「同じ人間」ではないんだよ。
これは将棋に限った話ではなく、どんな分野においても「生まれ持った能力の差」は確実に存在する。
このことを事実として受け入れるほうが、人生を生きやすくなっていい。