先に侵攻したロシアが「国際法的に」悪いというのはその通り。

 これを以てロシアのことを、社会正義的にも歴史的にも「悪」と断ずる声が少なからずある。

 さらには「ロシアは悪だからウクライナは正義」と単純な区分けをする向きも多い、というか日本のメジャーなメディアで流れる意見のほとんどはその図式だろう。

 

 そこが私にはわからない……というか馴染めない。

 

 原口一博を支持するわけではないが、ウクライナだって怪しいところは多々あって、「ウクライナに供与された武器が横流しされて、フランスの暴動で使われた」とか、「ゼレンスキーが支援金を流用して別荘をつくっている」なんて話も見かける。

 これらが正しいのかどうか、確証があるわけではないが、アメリカ政府などがわざわざ否定しなければならないほどには信じるに値する情報もあるのだろう。

 

 2014年のドンバス戦争の頃にネオナチを名乗って暴れまわっていたアゾフの連中が、現在のウクライナ正規軍に組み込まれて活動していることから「ウクライナ=ネオナチ」が完全に間違っているのかどうかも外部からは判断しがたい。

 

 あと、やっぱり引っ掛かってくるのが日本の大東亜戦争だ。

 「先制攻撃をしたほうが絶対悪」というのなら、日本も絶対悪ということになる。

 

 保守系言論人が、先制攻撃を理由としてロシアを絶対悪という時に、日本の戦争についてはどのように脳内処理しているのだろうか。

 そこがわからない。

 「ロシアと同様に、日本も絶対的な悪だ」というのであれば筋は通っているが、私はその論には与しない。したくない。

 

 「経済的、国際政治的な意味でウクライナを応援せねば」というのは一つの考え方として受け入れざるを得ないのかなと思う気持ちはありながら、それと同時に「ロシアにだってロシアなりの事情やロシアなりの正義があってのウクライナ侵攻だったに違いない」との思いも捨て切れない。

 「ロシア=悪でウクライナは正義」という単純な二元論は到底受け入れ難く、これを論ずる人間はとんでもなく単純バカなのかポジショントークをしているだけかのいずれかに違いないとすら思う。

 

 

 あと根本的なところでいえば、歴史的に見た時に、結局は「勝ったほうが正義」になるのだ。

 今は「ロシアは悪」と言っている西側マスコミも、今後もしもロシアが優勢になってきた時には「ロシアにも事情があった」「ロシアと和平を」なんてことを言い出すに決まっている。

 ウクライナを応援することを否定はしないが、今の時点で「ウクライナこそ正義」なんて言ったところで意味はない。

 最終的にはどうしたって「勝った方が正しい」ということで歴史は進んでいくのだ。