「アントニオ猪木かっこえぇ~!」から始まった私のプロレスファン歴。
プロレス専門誌なども読むようになり、そこには海外の専門紙が発表しているレスラーランキングも載っていて、見ると「ヒール」部門の上位にテリー・ファンクの名前がある。
小学校の高学年だったか中学生だったかは定かでないが、それを見て私は「テリーが悪役?」と戸惑った。
全日本プロレス中継でみるテリーは圧倒的なベビーフェイスだった。
なぜなんだろう?
テレビの実況解説はテリーのことを当然のように善玉として紹介しているのに……。
私はテリーがさほど好きではなかった。
パフォーマンスばっかりであんまり強そうに見えなくて、ファンが熱狂するのがよくわからなかった。
極め技とされていたスピニングトーホールドをプロレスごっこで試してもあんまり痛くないし避けるのも簡単だ。
引退したあと、レフェリーとして上がったのは鶴田vsニックのAWA戦だったっけ?
そこでも「なんでテリー?」と不思議だった。
引退から復帰したのも、それが歓迎されているのも私としては納得の行くものではなかったが、この頃になると「プロレスってそういうことなんだ」と自分なりに納得できるようになっていた。
その後はもう、WWFで悪役をやっていても、インディのリングで血だるまになっていても、「テリーはやっぱり千両役者だなあ」と感心するばかりであった。
ご冥福をお祈りいたします。