今になって「メディアに騙されたな」と思うことは少なからずあるのだが、そのなかでも一番が「子宮頸がんワクチン」の問題だ。

 

 一時期、多くのニュース番組で「重篤な副反応が!」なんて報じられていて、痙攣する娘さんの映像も何度か目にした。

 その頃、ウチの娘たちは中学生ぐらいだったかなあ。

 それで私も単純に「おそろしい」なんて思ってしまっていたのだが、数年前にちょっと調べたところ、日本における子宮頸がんワクチンによる重大な副反応の発生率はわずか0・1%にも満たないというではないか。

 これは現在一般に使われるどんなワクチンでも起こり得る程度のものにすぎない、

 

Microsoft PowerPoint - ⑦資料4-1_追跡調査結果 (mhlw.go.jp)

 

 インフルエンザでもなんでもワクチン接種をすれば、どうしたってわずかにアナフィラキシー症状を発症するリスクはある。

 異物を身体に取り入れるのだから当然だ。

 そのせいで不運にも重篤な症状となってしまった娘さんたちには、かける言葉もないのだが、しかしこれをことさらに「問題だ」というなら、あらゆるワクチンがダメだということになる。

 天然痘のワクチンもおたふく風邪のワクチンも等しくダメというわけだ。

 

 そう考えた時に、子宮頸がんに罹患するリスクとわずかに起こり得る副反応のリスクを天秤にかければ、絶対に打っておいたほうがいい。

 国内では毎年約1万人が子宮頸がんとなり、約3千人が亡くなっているという。

 

子宮頸がん|公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp)

 

 ワクチンを打った場合と打たない場合のリスクの差は歴然としている。

 接種しないのは「交通事故のリスクを恐れて外出しない」というのと大差ないぐらいの馬鹿げた話だ。

 

 ところが2年ぐらい前、嫁に「娘たちは接種したのか?」と尋ねると、「やっていない」という。

 せっかく国が積極的な接種を推奨していたのに、マスコミが医学知識もないままに、極めて稀な重篤患者だけを取り上げて「危険だ、危険だ」とカラ騒ぎをしたせいで、接種の機会をふいにしてしまった。

 「子宮頸がんワクチンは怖いもの」というイメージを既に植え付けられてしまっているせいで、今後も娘たちが自主的に接種することはないかもしれない。

 

 今、日常的な性交が身近なものになっているであろう彼女たちが、そのせいで子宮頸がんになどなったなら、私はあの当時にやたら恐怖をあおったマスコミを恨む。

 

 

その一方で、私は新型コロナに関するmRNAワクチンについては懐疑派であり、積極的に打つようなもんじゃないと考えている。

 mRNAワクチンという新技術が人体に及ぼす影響はまだまだ未知数であり、これを批判する医学者たちの意見にも納得の行くものが多い。

 私なんぞが素人知識で解説しても仕方がないので詳細は本職に任せるが、ともかく従来ワクチンとmRNAワクチンは別モノだと思ったほうがいいのは確かだ。

 

 新型コロナワクチンに反対するいわゆる反ワクの人たちの中には、mRNAワクチンの危険性を言う時に、これと子宮頸がんワクチンを並べて論じているのも見かけるが、これは断じて別モノだ。

 子宮頸がんワクチンはすでに安全性と実効性が確認されている技術に基づいたものであり、これを否定することは罹患リスクなどデメリットのほうが大きいことは明らかなのだ。

 

 そんな子宮頸がんワクチンをメチャクチャな理屈で批判していたマスコミが、今となってもなお新型コロナワクチンを批判しないのは、まったく意味が分からない。