今しがたNHK+で視た第53回NHK上方漫才コンテストの感想を。

(審査部分は飛ばして視聴していない)

 

 優勝のスナフキンズは以前からそこそこ好印象を持っているのだが、個人的な好みだと決勝は爛々が良かった。

 型がデキているだけに2本続けて見ると新鮮味が薄れ、その意味ではコンテスト向きではないんだろうが、寄席演芸としてみれば今回出演者の中では圧倒的だろう。

 「ハァーッ!」と「チョメ!」だけで十分に笑えるもの。

 個人的に気にかかるのは、萌々の発声がちょい大きすぎることぐらい。

 ただし決勝ネタに関しては内容自体がちょっとNHKぽくなかったところもあったか。

 一方のスナフキンズがハートウォーム系だったから余計に、爛々の荒っぽい悪口が悪目立ちしちゃったようにも感じられた。

 

 M-1的価値観ではコンテストとなると寄席演芸の部分よりもネタ質みたいなところを見られがちだが、それもどうなんだろう。

 THE SECONDでは寄席風っていう点がクローズアップされたわけだが、それはベテランに限ったことではなく、こうした若手のコンテストでももうちょっと評価されていいようには思う。

 若手で「ネタの発表会」ではない客向けの演芸ができるってこと自体がスゴイことなんだし。

 

 そういえば、先日、須藤さんが亡くなった青空。名前は聞いていたけどネタを見たことがなくて、訃報を知ってから初めてYouTubeに上がっていたネタを2本ほど見たのだが、いかにも寄席ぽい雰囲気の良い漫才だった。

 無理して頑張っているようなところを一切感じさせない自然体のしゃべりって、刺激は薄くとも寄席においてはこれが結構いいのよ。

 こういう人たちに活躍の場が多く与えられないのは、実にもったいないことだと思う。

 奇抜ならいいってもんじゃない。

 

 ともかく、爛々はお決まりのフレーズもちゃんとあるので客は安心して見られるし、今後はいい寄席芸人になると思いますよ。キャラクターも立っているからテレビタレントとしても使い勝手が良さそうだし。

 

以下、予選の感想

 

Aグループ

マーメイド……最初のつかみ(一生償って……だったっけ?)もネコ砂もおもろくて良かったと思う。ただ、ツッコミがちょっと叫びすぎで、「変なボケ」なんだから、もっとツッコミに強弱があってもいいようには感じた。

ハイツ友の会……悪くはないけど、今回のコントだと西野の変さばかり目立って、清水の味が薄れていた印象。

フースーヤ……デビュー直後かな? 最初にフジの深夜番組で見た時から好きだったことがない。「ここで笑ってくださいね」っていうネタの作り方がおしつけがましく感じられて苦手。無理してネタに流れを作らず、怪奇!YesどんぐりRPGみたくショートギャグの羅列にしてもらったほうが私としては見易いかも。

爛々……上に書いた通り。

 

Bグループ

丸亀じゃんご……もっとオモロイ印象だったが。朝寝坊という平凡な設定にありきたりのくすぐりで私としてはイマイチ。

パーティーパーティー……ギャグ漫才としてはフースーヤよりはこっちかな。ただこれもツッコミが一本調子。あと以前のMー1で松本人志がニューヨーク屋敷に「笑いながらのツッコみが嫌い」みたいなことを言っていたことを思い出した。

大自然……東京芸人のイメージだったので、出てきた瞬間に「うん?」と。大阪デビューならOKというくくりなのか? ネタ自体は良かったけど、それはやっぱり東京・渋谷の劇場向けであって、NHK&上方には合わなかったようにも思う。

スナフキンズ……「立ち飲み屋で座りたい」というのは設定として特に奇抜なわけでもないが、それをやたらおもしろく演じられるのがいろんな意味での能力の高さなんだろう。ただ、ネタ勝負となった時にロコディやニッ社、空気階段、男性ブランコ、ビスケットブラザース、蛙亭といったところに勝てるのか、となると結構大きな差があるようにも感じてしまう。

決勝もいいネタだったし、寄席でもテレビでも出てくれば嬉しい芸人ではあるけれど、どうしても見たいって感じでもないかなあ。今は良質なコント師が多すぎて、この道の先行きはかなり茨だと思う。そうしてみるとコント師よりも、漫才師のほうが若手的には手薄で、出世のチャンスがあるのかも。