きのうベッドに入ったAM3時、Twitterのスペースで行われた暇空茜と足立康史のトークを録音したものが上がっていることを知り、2時間超の長尺ということで「まあ子守唄代わりに聴きながら寝るか」と思っていたのだが、結局5時過ぎまで。

 おかげで目覚めてからも一日中調子が悪かったわ。

 

 内容自体がおもしろいというよりは、暇空氏のトーク能力に圧倒された。

 やっぱり暇空氏は強えぇなあ。

 そのトーク術としてまず感心したのが「無言戦法」で、足立がしゃべっている間は一切相づちを打たずに黙っている。

 それでいて足立が軽率な発言をすると瞬時に鋭いツッコミを入れてくるものだから、途中から足立は暇空の反応をうかがうことばかりに気が行って完全にビビりながらしゃべっていた。

 国会などでは有能な攻め手である足立をここまで怯ませるのだから、やはり暇空氏はタダ者ではない。

 

 足立がこれまでの経緯をほとんど把握しないままトークに及んだのだから言い負けするのは当然と思うかもしれないが、しかし足立も国会議員として、あるいは様々な対談番組などで積んできたトークの経験値は一般のレベルをはるかに超えるはず。

 どんな相手でも自分のフィールドに持ち込んで、手を変え品を変えしながら懐柔していくことは政治家にとって重要なスキルであり、暇空氏に対しても「直接しゃべればなんとでもなる」ぐらいの気持ちはきっとあっただろう。

 しかし暇空氏には通じなかった。

 

 暇空氏のトーク術でもう一つ感心したのが、自分のフィールドから外れたことを「知らない」とあっさり切り捨てるところだ。

 足立が例えとして出してきた「モリカケ」の話題についても、おそらく暇空氏は一般の認知が50点だとしたら60~80点ぐらいの理解はしているはず。それでも、その話題になると足立に丸め込まれかねないということを察知して「知らない」と完全排除する。

 簡単なことのようで、これが凡人にはなかなかできない。「知らない」と言うとバカにされるんじゃないかとどうしても知ったかぶりをしてしまう。

 

 暇空氏と足立ではこの件についての知識量が段違いだったとはいえ、それでも並みの人間だったら結局トーク術によって足立に丸め込まれていただろう。

 それをさせなかった暇空氏はマジですごい。相手に何もさせずに完封する様は、一流グラップラーの格闘技戦を見ているようにも感じた。

 言葉数で圧倒するだけのひろゆきやらその辺とはモノが違う。暇空氏の仕掛ける論戦はホント聴き応えがあった。

 

 一方の足立については、言いたいことはなんとなくわかるんだ。

 政治家論法で回りくどいんだけど、「700人国会議員がいて誰もこの件に興味を持たない」というのは「だから私は役に立つから味方につけたほうがいい」ということ。

 実際問題としても現役政治家のほとんどは、Colaboなど左派による公金集金システムを暴いたとして、「それで自分に何の得があるの?」ってなもんだろう。

 本気で国民のため、日本国のため“だけ”に仕事をしようという政治家など、きっと数えるほどしかいない。

 

 そして足立が当初に「本筋から外れている」といって他を切り捨てるような発言をしていたのは、マウントをとって自分が主導権を握ろうということだったに違いない。実際には暇空氏が足立の見立ての遥か先を行っていたために道化を演じることになってしまったわけだが、まあ「国会議員の自分は偉いしすごい」と思って他を低く見てしまうのは人間の習い性としてしょうがないようにも思う。

 

 ただ、よくわからないのは、もしも足立がそうした目論見通りに暇空氏を丸め込むことができたとして、その時に狙っていたのは何なんだろうということ。

 暇空氏を手下につけてこの問題の解決に向けて自分が主導することで、手柄を上げようとしていたのか。

 それとも「自分がやる」と見せかけて事の解決を先延ばしにし、問題自体をうやむやにしようとしていたのか。

 足立も利権関係者かもしれず、後者の線もあり得るとは思うが、ここは今後に成り行きを見守っていくしかあるまい。

 

  いずれにせよ暇空氏個人の活動に限界があるのは暇空氏も自覚していることであり、党派性の問題や法律自体の問題にまで切り込もうという時に国会議員の力が必要であることも確かだが、この時に暇空氏が「じゃあ先生、お願いします」とならなかったのが足立の最大の誤算だったろう。