初めてM-1グランプリアナザーストーリーを見た。

 いつからやってるんだろ? と調べたら2018年の霜降り明星からなのか。

 

 まったく興味がないということはないんだけども、それでも別になあ。

 私はあくまでもネタ優先。よほど好きな芸人以外はプライベートトークなど特には聞きたくないので。

 

 今回、見たからといって私のなかでのウエストランドの評価、「まあまあおもろい中堅」というのも変わるわけではない。

 まあでもこれまで興味のなかったアナザーストーリーを見る気になったのだから、それだけの求心力がウエストランドにはあったということなんだろう。

 

 

 ユーチューブに上がっている「M-1の感想」的な動画もいくつか見たけれど、みんな似たようなもんで特に見るべきものはなかった。

 

 唯一、おもしろかったのがこたけ正義感によるこれ。

M-1のネタ全組リーガルチェックしてみた - YouTube

 

 単なるおふざけではあるのだが、ウエストランドに対する批評で「個人を特定した誹謗中傷じゃない」といわれて、「ああそうだよなあ」と、私のなかでどこかもやもやしていたものがすんなり腑に落ちた。

 

 そうなんだよ。

 過去の毒舌と言われてきた人は、たとえばビートたけしなら村田英雄とか、その他いろいろな人をしっかり名指しでおちょくってきたんだよ。

 ダウンタウンだって横山やすしとかを、しっかり具体的にディスってきた。

 

 そう考えると、やっぱりウエストランドは「毒舌風あるある」であって、自らにリスクが及ぶような「毒舌」ではない。

 別にそれが悪いと言っているわけではなくって、世間の「毒舌漫才」という評価がどうも気色悪いなあという、あくまでも私の個人的感覚の問題だ。

 

 実際、ニューヨークなんかはずっとウエストランドと似たようなことをやってきたんだけど、ウエストランドの場合はそれをむき出しにしたから伝わりやすかったというだけで、ネタとして見た時に私としてはニューヨークのほうに価値を感じる。

 とはいえニューヨークも、屋敷の声質とか嶋佐の風体などからあまり好きなタイプのコンビではないんだがね。

 

 あとミルクボーイなんかもネタにしている対象物への切り口としては、じつはウエストランドと同じ類の「毒舌風あるある」なわけで、その処理の仕方においてはやっぱりミルクボーイのほうが上質だと私は考える。

 

 ちなみに私の推しの金属バットのことも毒舌と分類する人がいそうだが、彼らは対象物への嫌悪とか憎しみ、あるいは見下すような感覚がなくって、ただただちゃかしてるだけだから、毒舌というのとはちょっと違うというのが私の受け止めだ。

 いい意味で「軽い」から、仮にあの日のM-1決勝の舞台に金属バットとウエストランドが並んだら、結局熱量の差でウエストランドに軍配があげられたんだろうなあ。不快だけどそれが一般的な評価だから仕方ない。

 

 いま本当の意味での毒舌を表立ってやってるのは、創価学会批判をしている長井秀和ぐらいのもんだろう。

 あと未だに安倍元首相をはじめとする政権批判をしているお左翼系芸人たちも、ずっとそうか。

 

 結局、毒舌をそのまま露骨に出したところで、決して面白いわけじゃないってことですね。

 毒舌にせよ社会風刺にせよ、どれだけしっかりとした芸になっているかが重要なんだろう。