左側の人たちのよく言う「安倍政治が分断を生んだ」という意味が、これまで正直言ってよくわからずにいた。
在日外国人へのヘイトとかそいうことを言っているのかもしれないが、日本全体からみれば小さなことで分断というには大げさすぎる。
選挙では与党が安定多数を占めていたわけで、分断どころか団結を生んだのではないか。
それがなぜ「分断を生んだ」などという話になるのか。
そんなふうに思っていたのだが、たしか岩田温だったかなあ。ちらっとネットでその話を聞いているなかで左派のいう分断の意味が腑に落ちた。
安倍政権以前には、左派は何かと好きにできていたのに、安倍以降は思うようにいかなくなった。
そうして左翼が好き勝手できなくなったことを「分断」と言っていたのだ、と。
なるほど、くだらん。
戦後日本は経済一本でやってきて、政治的にはアメリカはもちろん中韓にもこびへつらうモラトリアム的状況にあり、与党にも確固たる「国としての方針」がないから左側も勝手なことを言っていられたわけだが、安倍はそれを「戦後レジームからの脱却」と言って明確に廃しようとした。
これは安倍個人の思想信条だけでなく、東西冷戦構造が崩れて新たな世界的枠組みがつくられようというなかで、日本にとっても必須の転換だったろう。
そうして日本を新たな国際的な局面に適する自立した国へと変革していこうという安倍の政策に対し、左側はあいかわらずの戦後体制の生ぬるい状態であり続けようとしていた。
それをひっくり返されることの何が「分断」だ。
たとえるなら、親の年金を頼ってぬくぬくと過ごしていた中年引きこもりニートが、「そんなんじゃあダメだから家を出て自立しろ」と言われたことを「家から分断された」と言っているようなものだろう。
ここでいう中年引きこもりニートは、戦後経済成長にぶらさがっていた日本全体のこと。
これを「ちゃんとしようよ」と言ったのが安倍で、それにNOを叫ぶのが左派の人間ということだ。