私が大学進学のために上京したころ、渋谷の駅を出てすぐの目につくところにデッカイ「世界日報」の看板があって、大学の先輩だか東京住まいの同級生だかに「あれはヤバいやつだから」なんて教わった記憶がある。

 

 時期的には霊感商法が社会問題として騒がれ出すちょい前ぐらいだったか。

 その頃から世間知として「統一教会=ヤバい」というのは広まっていた印象もあって、だから霊感商法被害と聞いても「そんなのレアケースじゃん?」なんて思ってしまうんだよなあ。

 バブル期と重なっていたこともあり、それでその当時の被害額がでっかくなったってのもあるのかな。

 

 統一教会の関係者が「戒名30万円、これは霊感商法に当たらないですよね?当団体も同じことです」なんて言ったというのをどこかで見かけて、これには反発する人も多そうだけど、まあでも本質的には同じことだとは思うよ。

 

 戒名ってのは要するに「それがなければ仏様になれない」なんていう一種の脅しではあるわけだし、使う文字によって値がかわるとかインチキくさいことこのうえない。

 仏壇だって、いまの相場は知らんけど、むかーし実家の仏壇をリストアするとかいって、正確な金額は覚えていないけど親が「何百万もかかかった」とかいって嘆いていたのを聞いた覚えもある。

 細木数子がテレビで「墓を大切に」なんていっている裏で、細木に鑑定を依頼した人間に対し、寺と組んでバカ高い墓石を買わせていたなんて話もウソかマコトか耳にしたことがある。

 

 それでも仏教関連のことが霊感商法呼ばわりされないのは、ただ単に、長い歴史や慣習のなかで世間的から受け入れられているというだけのことに過ぎない。

 歴史が長くて信者が多いぶん、広く浅く集金できるから問題になりにくい。

 統一教会の場合はエモノが少ないぶん、一人からごっそり獲らなきゃって感じなんだろう。

 

 いまの坊さん連中にうさん臭さを感じている人も結構いると思うのだが、それはさておいて統一教会にばかり目くじらを立てる人たちの気持ちがよくわからない。

 どっちもどっちだろうっていう……。

 

 須田慎一郎がコリアンゲートなどと統一教会の関係をYouTubeで詳細解説していて

別冊!ニューソク通信 - YouTube

 その点に関してはマズイと思うけど、1970年代の話だからなあ。

 今の献金やら霊感商法でそんな大それたことができるほど集金しているようにはとても思えない。

 

 霊感商法というけれど、世間の大抵のビジネスだって「いかに消費者からカネを取るか」という点では同じこと。

 直接的なウソや脅しで獲るのか、気持ち良くさせておいて獲るのかといえば、そりゃあ後者のほうが立派なことに違いないが、冷静に世のなかを見渡してみれば霊感商法に限らずたいていのものは前者じゃないですか。

 

 霊感商法の壺でもスーパーのお惣菜でも、必要なら買う。不要なら買わない。それだけの話なんじゃないの?

 山上の母親がいまだ教団から離れないように、信仰に幸せを感じてる信者もいるわけでしょ?

 それは洗脳だというかもしれんが、テレビだってネットだって洗脳まがいの広告がなされているわけでさ。

 私としては、個人レベルでやったところで絶対勝てやしない、ただのバクチに過ぎないFXなんぞを「投資」なんてダマくらかすようなテレビCMを放送していることのほうが、広域にウソを垂れ流しているという意味においてよほど悪質に感じてしまう。

 「これは投資だから」といってFXに手を出して破産する人間のほうが、人数も被害額の総計もよほど多いだろうに。

 

 信者がこきつかわれてるっていうのも耳にしたけれど、創価学会系の商業店舗などで信者が薄給で働いてるのもこれまでに結構見てきたからなあ。

 

 多額の献金要求については悪質に感じるけど、そこは投資詐欺などと同様に法的解決を目指すしかなかろう。

 それに、田舎だと檀家が菩提寺の修繕代で百万円とか、毎年の法事でも何万円とかがのべつあるわけで、やっぱりこれも「統一教会への献金と何が違うんだ」という気がしないではない。