Spotify「聴漫才」評④

(◎絶対聴くべき、〇聴く価値あり、△演者のファンなら、×時間の無駄)

〇ミルクボーイ……コーンフレーク→モナカ→便利グッズ→叔父と続く流れは、おそらく聴漫才を聴くぐらいの人ならおなじみのラインナップだろう。それらをしっかりきっちり演じているのは落語家の名演CDを聴くようでもあり、そこに価値を感じる人なら最高級品。つなぎのトークもおもろい。ただ、新たな刺激を望む人には不向きかも。

 

〇チュートリアル……もともとが見た目の雰囲気で見せる部分の比重が大きいタイプなので最初のうちはローテンションにも感じるが、続けているうちに後半は演者自身がのってきている風で、トータルでは安定した上質な漫才に。時間が41分と長いのもやる気の表れのようで好印象。


△コマンダンテ……聴いていて心地いいけど笑いどころは少ない。もともとがローテンションな芸風なので、それが彼らの持ち味ともいえそうだし、ワンテーマで30分、特に破綻もなくやり通すのは技術や能力のたまものなのだろうが、やっぱ刺激は少ないからファンじゃないとちょい退屈かなあ。


△NON STYLE……ネタ時間はもっとも短い20分台前半。たぶん、ふだんやってるのと変わらない感じで演じているのだろうが、絵面や動きがないと随分印象が違う。電話でのやりとりのくだりはなんか千鳥風に聞こえるし。言葉だけだと石田の見た目の弱弱しさがないぶん、井上とのパワーバランスが映像で見るのとは違うように感じてしまう。「オエ~」とゲロを吐くお決まりのくだりも耳だけで聴くとマジでキモチ悪く感じてしまうので、今後こういう企画がある時には避けてほしい。

 

 

全演者のネタが揃ったところで、勝手ながら個人的な順位付けをすると以下の通り。

1 アインシュタイン

2 すゑひろがりず

3 チュートリアル

4 ロングコートダディ

5 ニッポンの社長

 

別格 金属バット

 

1~5は、お笑い好きなら誰が聴いても飽きずに楽しめると思う。

正直、一番おもろかったのは金属バットなのだが、漫才としてはメタやライブ感覚を加えたりするなどかなり複雑なことをやっていて、聴き手を選ぶ感もある。