敗者復活が終わった時には「これで決勝上がれないならしゃーないな」と思うぐらいに感激したのよ。
金属バット。
持ち味を生かしつつしっかりウケも取って、客あしらいも堂々たるもので風格すら感じられたので。
結局ハライチに負けたけど、それでも「仕方がない」ってぐらいの心持ちだったんだが、そのハライチの決勝ネタを見たらもうねえ……。
「あれだったら金属にやらせてほしかった」とどんどん口惜しさが沸き上がってきて、正直次の真空ジェシカのネタがほとんど頭に入ってこないぐらいだった。
来年がラストイヤーっていうけど金属、今回の敗者復活で燃え尽きちゃってないかなあ。
すごく良かっただけに逆にちょっと心配ではある。
今後はできる限り時間をつくって寄席にも足を運ぼう。
で、M-1全体の感想。
私自身がどこか燃え尽きちゃったところがあったのか。
なんか全体的に低調に感じてしまった。
新顔の決勝進出者にもあまり新味が感じられなかったのは残念。
ももとか真空ジェシカあたりは今のベストを出してこの結果だったようにも思うので、もう来年以降は厳しいような気がしないでもない。
そこから巻き返すことができればホンモノなんだけれども。
●モグライダー……おもろいといえばおもろいんだけど「いまどき美川憲一?」っていうのと、あと芝がツッコむ前にほんのわずかな一瞬だけ間があくのが気になってしまった。オチは今大回最高の部類だったと思う。
●ランジャタイ……正直一番笑ったのだが、嫁とかは全然だったようだし、見慣れないとキツイのは仕方がないか。国崎のふるまいが明るいからシュールをやってもセンスよりバカバカしさが勝つのがいいなあと改めて感じた。マイナスポイントは猫を「飼う」の発音が「買う」に聞こえたところだけ。
●ゆにばーす……本来はもっとポテンシャルの高いコンビだと思うのだがなんか全体的に冴えなかったなあ。川瀬名人がかかりすぎだったか。観ていた時にはランジャが暴れたことの影響は特に無いように思っていたが、実際はそれもあったのかな。
●ハライチ……ハライチねえ。「やりたいネタがやれた」なんて言われても「はあ?」みたいな。上沼恵美子と松本人志の高評価はハライチのこれまでの実績も込みのものなんだろうかね。よくわからない。
●真空ジェシカ……生中継ではハライチショックで気持ちがどこかへ行っちゃってて記憶が飛んでいたので後でユーチューブで見たのだけれど、完全な好みの問題ではあるが2人とも顔やたたずまい、しゃべり方など少しずつ趣味に合わない。いい悪いではなく好きじゃない。
●オズワルド……畠中痩せた? 何か人相が変わっているように見えてまずそこが気になってしまった。手練れの漫才師としての期待度が上がっていたのだが、正直今回のデキに関してはそこまでではなかったかなあ。
●ロングコートダディ……まず思ったのは「これって黒帯のパターン漫才じゃん?」ということ。肉うどんから転生するくだりの動きはおもろかったけど、ABEMA「しくじり学園」の「キングオブう大」での彼らがすごく良かっただけに、満足度はちょっと低かったかなあ。ただ暫定BOXから脱落した時のネタ合わせのくだりは、今大会でランジャのネタの次におもろかった。
●錦鯉……最初のうちは何か変な空気感だったけど、途中「乾燥したカカト見る?」ってあたりからどんどん良くなってきた。まさのりはこれまで通りかやや粗いぐらいだったが、隆のツッコミフレーズがすごく良くなっていたように感じた。
●インディアンス……まあいつものインディアンスかなあと。もともと嫌いじゃないからそれはそれでいいんだけれども。
●もも……最初のうちテンポ遅めだったのは決勝用の調整だったのか緊張のせいだったのか。どちらかはわからなけどもっと勢い任せのほうが個人的には好きかな。「ズレてるわあ」のフレーズはもっとあったほうが緩急がついてよかったようにも思った。いっそ流行語を狙うぐらいにあざとく入れちゃったほうが印象にも残ったのでは。
本戦での個人的ベスト3はトップが断然ランジャタイ。次が錦鯉で、3組めはもも、モグライダー、オズワルドが競る感じ。あえて選ぶならオズワルドだったかなあ。
最終決戦はインディアンスのもう中学生のくだりが一番おもしろかった。錦鯉はやっぱりまさのりが粗く感じたし、オズワルドは低調。あれはABCでやったやつだっけ? その時よりもデキはよくなかったのでは。
ただまあ錦鯉の優勝に不満はないし、決まってみれば一番おさまりがいい結果のようにも思う。
インディアンスやオズワルドはちょっと見馴れられてしまった感があるし、今回新顔がそれほど爪痕を残したわけでもなさそうで、来年は決勝出場メンバー総とっかえになるような気がしないでもない。
2022年M-1は若手にとって、本当に人生を変える大チャンスになるんじゃないかな。