「鬼滅の刃」の次期テレビアニメが「遊郭編」というのが一部で問題視されているというのを見かけた。

 

 まあ小さな子を持つ親御さんが、質問をされたときに答えに窮するという気持ちは分からないでもない。

 だけど遊郭自体は、実際にあったものだし、文学や落語など大衆演芸の題材となるなど、文化的に日本人の精神土壌の一端を担っているに違いなく、将来的には知っておいて損のない知識だろうからなあ。

 

 遊郭に限らず、今の常識からダメなものであっても過去には良くも悪くも必要とされてきた事物や習慣というのは少なからずあるわけで、それを臭いものに蓋とばかりに隠してしまうことは、やっぱりどこか納得できないものがある。

 

 娘のコミックスで遊郭編のところまでは読んだのだが、男女の性行為についてまで深く踏み込んだ描写はないし、仮に子どもから質問されたとしてもその年齢や性的知識に合わせた説明はできると思うがね。

 

 しかし、鬼滅の刃の遊郭編がダメだという人からすると、樋口一葉などは「売春ネタで一山当ててお札にまでなった大悪人」ということにでもなるのだろうかね。

 

 遊郭の実態を知れば、女性が搾取されていたというのは事実であったにしても、一方でアイドル的な扱いを受けていたという面もあったわけで、単に女性を搾取の対象としか見なかった欧米文化と異なり、日本においては男性のどうしようもない性衝動はありながらもそれと同時に女性への敬意が通底していたことがわかる。

 

 単なる売春宿とは違うのだよ。

 

 フェミ界隈の人たちも、一度は偏見なしに日本の遊郭について調べてみてほしいなあ。