共同通信の行ったアンケートによると、「今回緊急事態宣言の発令が遅過ぎた」との回答が79・2%にも上ったというのだが、こういう回答をした人というのは仮に宣言を早く出していたときにはどのような結果になったと考えているのだろう。

 

 感染拡大が減速して、医療界隈の負担が減るという意味で言っているのなら、それはそうだろう。

 ただ、あくまでも私の直観だけど、多くの人はそういうところまで考えて言っているわけではなく、本当になんとなく「そのほうがいいんじゃない?」ぐらいの感じなのではないか?

 あるいは「自らを律すれば苦難は乗り越えられる」みたいな精神論だったり。

 

 まさか早くに緊急事態宣言を発して人々が自粛をすれば新型コロナウィルスが完全終息するだなんて思っていないよなあ。

 それはあまりにも浅慮というものだ。

 

 海外では日本以上に強力なロックダウンを行っても終息どころかさらに感染拡大しているのだから、たとえ全人類が感染して抗体を持ったとしても、あるいは真に有効なワクチンが開発されたとしても、新型コロナウィルスはインフルエンザなどと同様に、変異してまた流行することになるだろう。

 たぶん全人類が死滅するまでこのウィルスが無くなることはない(念のために付け加えると「このウィルスで人類が死滅する」などと言っているわけではない。きっとこのウィルスにそれほどの毒性は無いので)。

 

 

 テレビなどでは「緊急事態宣言後も街中を出歩いている人がいる」などと批判的に伝えるが、そのような人たちだって何の考えもなくそうしているわけではない。

 台風や地震が避けられないのと同様に、新型コロナは避けようとしても完全に避けられるわけではないということを(意識的か無意識かはともかく)自覚した上で、日常を生きることを選択したというだけのことだ。

 これまで自然災害を受け入れて生きてきた日本人の文化伝統に沿った行動様式だとも言えよう。

 

 逆に「コロナが怖いから」と引退した力士みたいな人もいて、それもまた個人の選択なので非難はしないが、それでも「テレビなどにダマされたかわいそうな人だ」との憐れみの気持ちは捨て切れない。