浅田真央の引退については、かねてから「本人が好きなときに辞めればいい」とのスタンスでいたのだが、にもかかわらず今回引退の報を見た最初の印象としてはちょっと引っかかりを感じていた。
「平昌五輪の女子フィギュア出場枠が2枠に減り、出場の可能性が減ったから」とか「世界選手権のロシア勢の躍進を見てトリプルアクセル1、2本成功させたところで敵わないと諦めた」とか、引退を決めた裏にそんな打算的感情があったのではないかと勘繰ってしまったのだ。
アスリート浅田は、そんな周囲の状況に関係なく、己のベストだけを目指すフィギュアの求道者ではなかったのか…と。
ただ記者会見での本人の弁によると、昨年の全日本後から引退を考え始め決断したのはこの2月だという。
ならば私の浅薄な考えなどはまさしくゲスの勘繰りだったわけだ。
申し訳ないです。
テレビの引退特番はテレ朝が5.7%、フジが7.3%とともに低視聴率だったようで(フジはこの数字で上出来なのかもしれないど)、まあファンを自認していたハズの私自身も視なかったわけだが、引退からの報道量とのこの格差は何なんだろう。
世間的にはもう過去の選手ということなのか。
連日の報道でお腹いっぱいということなのか。
これを以てフィギュアをメダルの色でしか見られないような人々が「浅田なんて大した選手じゃなかった」なんて言い出すのかと思うと実に不愉快だなあ。
森喜朗のように「肝心なところでコケる」とか、あるいは「結局キムヨナには勝てなかった」とかさあ。
興味を持てない、感情移入できないのならいっそ無視してくれればいいのに、なんでイチイチ見当はずれなことをほざくかねえ。
“キムヨナ上げ”のために韓国ロビーがあの手この手を尽くし、キム有利になるようにあるいは浅田の弱点をピンポイントで狙い撃ちするかのごとく、ルールやジャッジの度重なる改編が行われる中、浅田はそれに文句も言わず立ち向かい、ただひとつ頼れる武器であるトリプルアクセルに賭けた。
そんな悲運の勝負師としての顔など何も知らずに勝手なことを。
まあ上に書いたような話は私自身確かめたわけではなく単なるネット上のガセネタかもしれないが、しかし私にとってはスッと腑に落ちるものだし、真偽にかかわらずスポーツマン浅田の本質をあらわす秀逸なストーリーだと思っている。
韓国ロビーがあったかどうかはともかくルールの変更が浅田に不利に働いたのは事実だからね。
とはいえ10年もすればきっとそういう「浅田なんて…」というような意見が大勢となるのだろうなあ。
哀しいことではあるが、その反面でしょうがないことだと理解もできるわけで、せめて私としては浅田の“雄姿”をいつまでも心に刻んでおきたい。