縁あって『田中角栄 100の言葉』(宝島社)を読んだ。
ざっと読了までに1時間弱、これで定価1000円は割高なようにも感じたが、角栄を「まあ、その~」のモノマネでしか認識していなかった世代だけに、なかなか興味深い内容ではあった。

今の時代にそぐわないと思われる文言もいくつか見受けられたが、案外と私自身の今現在の感覚に沿った部分も多く、だからこそのこのところの角栄人気なのか、と納得が入った。

「大学教授よりも初等教育の教師のほうが重要な職務であり、待遇も良くするべき」なんてのは私自身、以前このブログでも書いたのとまったく同じだ。

私が知らなかっただけで、読んだ人は「角栄のパクリ」と思ったのだろうか。
ちょっと恥ずかしい。


角栄の思考や処世のふるまいが私の感覚に馴染むというのは、もちろん私が角栄ばりの才人であるから、なんてことではない。

きっと自分で意識しないうちに、角栄の在り方から影響を受けていたということなんだろう。
日本の多くの意識を変革するほどインパクトのある政治家だったというわけだ。

繰り返しになるが、角栄を今の視点から全面肯定することはできない。
それでも、このくらいの傑物が出てきてこそ、政治も面白くなるんじゃないか、と思ったりもする。


そういえば、浜田雅功が尊敬する人物として田中角栄を挙げているのを以前に見た記憶があり、そのときは「なんで角栄?」とピンとこなかったのだが、改めて思えば、角栄ブームの前からそれを言っていた浜田ってのもなかなかのものだ。

物事の要諦を見抜く眼力がズバ抜けているのだろう。
ダウンタウンでは松本よりも浜田派の私としては、その意味でもなかなかおもしろい読書体験となった。