私の好きな映画の生涯1位は『ブルース・ブラザース』なのだが、ピーター・バラカンに言わせるとブルースブラザースバンドもまがい物ということになるんだろうか。
ピーター・バラカン「ベビーメタルはまがい物」発言はおかしくない! ベビメタ批判・経歴がタブーの音楽業界
http://lite-ra.com/i/2016/04/post-2191-entry.html
 ジョン・ベルーシーもダン・エイクロイドも本職はコメディ俳優で、ブルース・ブラザースのもともとはコントキャラクターだからなあ。
 だけど、真剣におもしろいことをやろうと取り組むその姿勢に対し「おもしろい、おもしろくない」と評価が分かれるのは仕方がないにせよ、頭ごなしに「まがい物」と貶すのはどうなんだ?
 エンターテインメントの理解としておかしくないか?
 そもそもまがい物でないものって何なんだろう?
 というか、どれが正しく、どれがまがい物だなんてのは完全に主観でしかなくないか?
 私個人の好みでいえばベビーメタルの事務所の先輩であるパフュームこそ、テクノポップの上辺だけをすくった“ザ・まがい物”って感じなのだが(だからといってパフュームのタレント性を好む人を否定はしない)、じゃあそのパフュームのおおもとであるテクノポップは、クラッシック音楽や伝統音楽、民族音楽などと比べたときにまがい物ではないといえるのか。
 その根拠な何なのか。
 かつてYMOのマネジャー的なことをしていたらしいバラカン先生にはぜひとも見解を聞かせてもらいたいものだ。
 だいたい、ベビーメタルぐらいの内容のものをまがい物とか言い出したら、J-POP自体が壊滅状態だぞ。
 事務所の戦略として歌をあてがわれているだけのほとんどのアイドル歌謡はもちろん。
 たいていの自称ロックバンドにしたって「モテたい」とか「カネ儲けしたい」っていう動機で、てきとうに先人たちのいいとこ取りをしながら音楽をやっているとしか感じられやしないではないか。
 ベビーメタルに関しては私は完全に後乗りで、動画すらきちんと見たのはこの数日のことなのだが、良いと思うよ。
 『ギミチョコ!!』とか音楽としてもパフォーマンスとしても完璧過ぎるだろう。
バックバンドの演奏はもちろんのこと。唄もダンスもしっかりしてる。
 パチンコ機の画面でさんざんAKBのパフォーマンスに苦笑させられてきた身からすれば、ベビーメタルのそれはまったく比較にならないほどに上質だ(AKB、特にダンスとか酷過ぎるだろ? 小学校の運動会での団体演技のほうがよほど練習してるに違いない。とはいえ私はAKBの音楽はともかく、メンバーたちのキャラクターについては肯定的に見ているのだが)。
 なにより楽しいじゃんねえ、ベビーメタル。
 ブルース・ブラザースと同じく、もともとその世界の外にいた人間が取り組むことによって「この道しかない」という必死さが薄まり、 「これぞ本物」的な押しつけがましさがないことでどこか軽さが生まれ、エンタメとしてとっつきやすくなっているのかもしれない。
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 しかもただ形だけ真似ようというのでなく、クソマジメに取り組み、さらに周囲も一流どころで固め、本人たちも上質なパフォーマンスを裏付けるだけの才に恵まれているというのが素晴らしいではないか。
 やってる当人たちが楽しそうな点も、ブルース・ブラザースとベビーメタルは共通しているように思う。
 ついでにいえば、フロントメンバーの体型のバランスが奇跡的にマッチしている点もまた、ベビーメタルとブルース・ブラザースは相似している。