この日の最終戦である。
すでに試合を終え、4強進出を決めた愛知、京都、福岡のメンバーは
まだ会場に残っている。観客席からコートを見つめている。
もちろん、この日の大一番を観るためである。
愛知と並ぶ優勝候補の秋田。今大会の台風の目といわれる神奈川。
この2チームの激突は紛れもない大一番として捉えられていたのだ。
ちなみに、インターハイの時に「30年山王を見ている」と豪語した
ヒゲの親父もしっかりイイ席を確保していた。
両軍のメンバーが練習を開始。
秋田の堂本監督が流川に話しかける。
「流川君、沢北はキミと戦うためにアメリカから帰ってきたんだ。
今日はよろしく頼むよ。思う存分勝負してくれ」
流川は無表情。沢北の背中を見つめる。
「………」
堂本はフッと笑って、秋田のベンチに戻った。
神奈川ベンチ。
そのすぐ上には神奈川応援団。
宮城が桜木に気づいた。
「お! 花道来てたのか。ちゃんと1回戦から観に来いよ!」
桜木、笑う。
「ハッハッハ! リョーちん、重役出勤ってやつよ!」
三井が呆れる。
「なに言ってんだ、あのバカは」
しかし、三井も宮城も、元気そうな桜木を見て嬉しそう。
桜木がハッパをかける。
「この天才抜きでヤマオー軍団にどれだけやれるのか見物だぜ!!
せいぜい頑張れや!神奈川よ!」
牧、仙道、ニッコリ。
「相変わらずだな」
いよいよ試合開始。
『試合に先立ちまして、両チームのスターティングメンバーを発表します』
8強決戦のこの日からは、選手紹介があるのだ。
『白のユニフォーム、神奈川県……』
『4番、牧紳一』
「おおおおおお!!!牧さーーん!!」(海南部員)
「牧ーー!頑張れよーー!!」(会場)
『8番、花形透』
「花形さーーん!!ファイトーー!!」(翔陽部員)
「おお!海南のセンターじゃなくて、でかい方で来たぞ!」(会場)
『12番、仙道彰』
「仙道ーー!!暴れてやれーー!!」(陵南部員)
「キターーーー!!待ってました仙道!!!!」(会場)
「やった!仙道スタメンだ!!!山王も蹴散らせええ!!」(会場)
『14番、清田信長』
「おおおー!信長スタメン!? マジかーー!!」(海南部員)
「おおお!奇策か神奈川!!どういうことだ!?」(会場)
清田、立腹。
「なんだ、この反応は…」
『15番、流川楓』
「流川ーーー!!!頼むぞ!湘北のエース!!」(湘北部員)
「湘北のルカワだ!!沢北と2度目の対決か!?」(会場)
「期待してるぞーー!!!ルカワーー!」
『続いて、黒のユニフォーム、山王こう…、』
『失礼しました! 秋田県』
「ギャハハハハ!!いいぞアナウンサー!!」
「でも、しょうがない!これは山王だ!!」
『4番、深津一成』
「深津ーー!!頑張れーー!!」(会場)
「山王を支えるいぶし銀のキャプテンだ」(山王マニアのヒゲの親父)
『5番、野辺将弘』
「野辺ーー!リバウンド頼むぞーー!」(会場)
「野辺とリバウンドを争える男が桜木以外にいるかな?」(山王マニアのヒゲの親父)
『6番、松本稔』
「松本ーー!!ファイトーー!!」(会場)
「沢北に次ぐ実力者だ。そうそう止められないぞ」(山王マニアのヒゲの親父)
『7番、河田雅史』
「河田ーーー!!ダンクだ、ダンク!!」(会場)
「日本一のセンター。今日も暴れるか?」(山王マニアのヒゲの親父)
『9番、沢北栄治』
「うおおおおお!!!沢北ーーーー!!!」(会場)
「待ってました!!沢北ーー!!夏のリベンジだーー!!」(会場)
「アメリカを蹴って帰ってきた。今日の沢北は怖いぞ」(山王マニアのヒゲの親父)
両軍、センターサークルへ。
「行け行け山王!!」「押せ押せ山王!!」「行け行け山王!!」
「神奈川!!」「神奈川!!」「神奈川!!」
山王のスタメンがいつもどおり出てきた秋田。王者奪還を目指す。
清田を初めてスタメンで起用してきた神奈川。その真意はいかに。
神奈川VS秋田、まもなくティップオフ!!
続く
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俺たちのフィールド
『俺たちのフィールド』(おれたちのフィールド)は、1992年 3・4合併号から1998年 45号まで週刊少年サンデー で連載されていたサッカー漫画 である。作者は村枝賢一 。通称「俺フィー」。コミックス全34巻+外伝1巻、ワイド版全17巻+外伝1巻、文庫版全19巻。
サッカー 好きの少年・高杉和也は、日本リーグのスター選手である父・貫一と、いつか国立競技場 で一緒にプレーすることを夢見ながら、幼馴染の森口愛子や転校生の騎場拓馬と共に、少年クラブでサッカーに打ち込んでいた。だが貫一が交通事故 によって、帰らぬ人となると和也は父を失った失意からサッカーを止めてしまう。しかし高校2年になったある日、和也の前に一人の男が現れた事で再びサッカーを対峙する事となる。
感想
サッカー漫画に初めてシビアな世界基準を持ち込んだ作品だと思います。
「負けたくない!」「勝ちたい!」というのがこれほど伝わってくる漫画は
ありません。
主人公の高杉和也の小学生時代からプロになるまで描かれた長編ですが、特にワールドカップ予選編が面白い。
日本チーム内で個性と個性がぶつかり合い、エゴとエゴがぶつかり合い、
それをエネルギーとしてとんでもないテンションを生んでいきます。
歴代サッカー漫画の中で最高の作品!
とにかく熱い!凄い!サッカー好きなら一度は読んでもらいたい。
評価は100点中80点です。
ファンタジスタ
漫画 | |
---|---|
作者 | 草場道輝 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | 週刊少年サンデー |
発表期間 | 1999年 第35号 - 2004年 第14号 |
巻数 | 全25巻 |
『週刊少年サンデー 』(小学館 )に1999年から2004年まで全222話が連載された。単行本は全25巻、文庫版は全13巻。その名の通り、ファンタジスタ と「強いイタリア」に焦点を当てた作品で、ファンタジスタたちのトリッキーで魅力的なプレーについつい引き込まれてしまう。日本での高校サッカーから代表を経て単身イタリアに渡り、イタリア篇が始まる。
登場人物の固有名詞が幕末および明治維新の歴史上人物をモデルにしている事が多い。
九州の孤島で1人サッカーの練習をしていた少年、坂本轍平は高校サッカー部の監督をしている姉の琴音を頼って上京し、水本高校へ転校してくる。間もなく合流して試合に出場したてっぺいは幼馴染みの森川竜司が率いる帝東高校との試合でトリッキーなプレイを魅せ、視察に来ていたACミランのスカウトを虜にしてしまう。てっぺいはライバルたちとめぐり合う中、ファンタジスタ として成長して世界に羽ばたいていく。
感想
ライバルや仲間たちのキャラクター、心情などがよく描かれています。
戦術もちゃんとしているし、監督の指導や言葉も意味不明ではなくリアリティがあります。
フォワードだけに特化せず、ディフェンダーやキーパー、ボランチなど、それぞれのポジションについてしっかり描かれているのも良いです。
多少無理のあるプレーもありますが、試合を盛り上げるための演出として理解できる範囲のものです。
ある程度リアリティを保ちつつ地味でもない、程よいバランスだと思います。
良く出来た作品でした。
評価は100点中76てんです。
神奈川の選手たちが、神奈川応援席に合流した。
最初にかけつけたのは、三井と宮城、そして面倒くさそうに流川。
「安西先生!おはようございます!!」
安西ニッコリ。
「ホッホッホ。ベスト8進出おめでとう。今日は大一番ですね。
期待してますよ。三井君、宮城君、流川君」
高砂、花形は、赤木と魚住らと話している。
赤木がニヤリ。
「俺たち2人がいなくて、苦戦してるんじゃないのか?」
花形が返す。
「そうならないように、全力を尽くしているところだ」
陵南の池上は、仙道をつかまえた。
「どうだ、仙道。全国の舞台ってやつは」
仙道、ニコニコ。
「まだまだこれからですよ、池上さん。今日からが本当の勝負です」
海南の宮益は牧に話しかける。
「牧、ついに山王との戦いだな。昨年の夏以来か」
牧が返す。
「宮…、今回は俺たちが勝つよ」
メイン会場近くのパチンコ店。
桜木は洋平たちと打っている。
洋平が聞く。
「お前、いいのか? 試合観なくて」
花道は黙々と打っている。
「フン。この大会は出ねえんだから関係ねえよ」
大楠が笑う。
「とか言って、置いてかれる気がしてイヤなだけなんじゃねえのか?」
花道、一瞬ムッとして
「この天才に限ってありえん!」
野間がからかう。
「せっかくハルコちゃんが来てるのに…。一緒に観客席にいなくていいのか?」
「ぬあああーーー!!! そうだったーーーー!!!!」
花道、ダッシュで会場へ。
「どーなってんだ? アイツ」
「知らねえよ」
「俺たちもそろそろ行くか」
その時、高宮に確変!
「キターーーーーーーーーーーー!!」
「………もうちょい待つか」
メイン会場。
第3試合のハーフタイム。
花道が神奈川応援席に戻ってくる。
晴子が桜木に気づいた。
「桜木君! どこ行ってたのよう。さっきまで神奈川のメンバーがいたのに」
桜木、オドオド。
「イ、イヤ…、ハルコさん。洋平たちが無理矢理メシに誘って…」
晴子、笑う。
「もう、しょうがないわね。ホラ、今は試合前の練習中よ」
桜木がコートを見る。神奈川と秋田が練習している。
「ジイ、センドー、翔陽の補欠(藤真)…。神奈川選抜か…」
晴子、ニッコリ。
「怪我がなければ、この中に桜木君もいたはずよ。神奈川のリバウンド王だもの」
桜木、ニンマリ。
「やはり? フッ、この天才なしでヤマオーとでどれだけ戦えるか
見届けてやるか。ルカワの無様な姿が目に浮かぶぜ」
晴子、立腹。
「ダメよう。ちゃんと応援しなきゃ。 ね?桜木君!」
桜木、直立。
「ハイ!」
そして1時間後。
いよいよ、神奈川と秋田の試合時間になった。
会場は大歓声。
「さあああ!山王の登場だ!!」
「相手は神奈川だ!湘北に夏の借りを返すか?」
「いや、今年の神奈川は強えぞ! 秋田を食うかもしれん!!」
「ウワサの仙道は山王相手にどれだけやれるんだ!?」
夏の湘北VS山王の試合とは大違いの反応。この日は神奈川の勝利を
予想する人間も多いのだ。
両軍の選手がコートへ入ってきた。
この日の最終試合が、もうすぐ始まる!
つづく
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「バ、バケモンや…。とんでもないセンターや…」
赤木と魚住も言葉を失っている。
「…………」
安西はニコニコしながら困っている。
「ホッホッホ。愛知にはスゴイ選手がいますね。
これは今後ウチの大きな壁となるでしょう」
1stクォーター終了。
愛知 36
沖縄 12
愛知センター・森重、23得点・6リバウンド・2ブロック。
たった10分で、通常の1試合分の数字を叩き出したのだ。
桜木は笑っている。
「なかなかやるじゃねえか、あのデカ坊主。
この天才の未来のライバルになりうるな、これは」
そのセリフを聞いて、赤木はしかめっ面。
「素人の特権か…。夏に山王のビデオをみたときといい、
そのすごさが分からないのは、ある意味幸せかもしれんな」
桜木、憤慨。
「なぬ? どういう意味だ! ゴリ!」
その頃、高頭が借りた体育館に神奈川のメンバーの姿が。
秋田戦を前に、最後の確認が終わったところだった。
高頭、拍手。
「よーーし!OKだ。今のパターンを覚えておけ」
選手たちは特に汗はかいていない。
動きのパターンを確認しただけのようだ。果たして何の確認だったのか…。
牧が藤真の顔を見る。
「なんとか上手くいきそうだな。藤真」
藤真が返す。
「これだけスムーズに実行できるとは正直思わなかった…。
たいしたモンだよ。神奈川のメンバーは」
高頭が全員に呼びかける。
「よーし。1時間後に出発するぞ。各自準備をしておけ。
あと、仙道! 寝るなよ」
仙道、ギクリ。
「はは。まいったな…」
国体会場。
試合がまもなく終わろうとしている。
森重、諸星ら主力選手はすでにベンチ。勝負は既に決している。
「強えええ!強すぎるぞ愛知!!」
「130対52って、8強のスコアじゃねええええ!」
「怪物センター!もう一度出て来ーーい!!暴れろーー!」
大歓声の体育館の中で、神奈川応援席は静まり返っている。
桜木は洋平たちと食事に出かけて不在。
赤木がつぶやく。
「間違いない。決勝の相手は愛知だ」
試合終了
愛知 138
沖縄 54
84点差。全国大会のベスト8でこのスコアである。
森重53得点、諸星31得点。
ちょうどこの2人で、両チームの得点差分の点数を稼いでいた。
そして
試合終了と時を同じくして、神奈川選抜のメンバーが会場入りした。
愛知のことなど、彼らの頭にはない。
来るべき決戦に備えて、12人は気持ちを高めていた。
続く
『リアル』は、井上雄彦
による日本
の青年漫画
。『週刊ヤングジャンプ
』で1999年
48号から不定期連載されている。
2001年 に第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門 優秀賞を受賞した。
ストーリ ー
高校を中退し、自身の引き起こしたバイク事故により他人に一生残る傷を与えてしまった罪に苛まれる野宮朋美。
車いすバスケットボール の有力選手でありながら、我が強くチームメイトと上手くいかずに一度チームを抜けた戸川清春。
自尊心が強く、交通事故で下半身不随になったことを受け入れる事のできない高橋久信。
それぞれが向き合うREAL(現実)――。
感想
「車いすバスケマンガ」ではありますが、軸となるのは挫折した者たちが現実を受け止め困窮、葛藤していく様を描いたドラマです。
同作者のバスケマンガ「SLAM DUNK」とはちがい、試合の勝敗、駆け引きでアツくなれるような漫画ではありません。少年漫画ではないのでハラハラドキドキの展開は望めません。
しかし、登場人物それぞれの個性や感情、人生背景がしっかりと描かれていて、セリフや沈黙をじっくりと味わえるので、1冊1冊満足に読めると思います。
評価は100点中83点