巨漢君に


「 俺と付き合わない?」 と言われ


「 無理~!」 と答えたのがつい先日のこと。



「 **さ~ん、来月のお誕生会の余興だけど、巨漢君とだから宜しくね。」


ありえねー!!



病院での誕生日会の余興は、毎回順番で回ってくるものなので、それは構わないのだけど


前々回、巨漢君係だったじゃん! 今回、巨漢君の番じゃないじゃん。


しかも、何で二人っきり?? 毎回余興は4人でやるって決まってるじゃん。


どーしてー!!



あぁ・・・・もう、なんだかはめられてる気分。



と言っても、嫌です!!とも言えず、きっと顔は半分ひきつっていたと思いますが、


了解ですと引き受け、余興で何をやるか二人で話し合い。



「 **さん、何か特技ある?」


「 うーん、あると言えばあるけど・・・・。」


「 なに??」


「 トランペットと三味線、それと民族舞踊に書道、あと空手。」



「 え~凄い! じゃ、それやろう。」


「 無理だよ。 居室内でやるのに狭すぎる。トランペットは音うるさいから心臓に悪いよ。」


「 そうだなぁ・・・。」


「 巨漢君は何できる?」



「 俺? 俺特技なし。でも、知り合いに手品やってる人がいるから、手品しようかな?って。」


「 手品かぁ・・・。手品は悪くないかもね。 でも、××さんとか目が見えないんだよ、手品やっても


見えないんじゃ意味ないでしょ。 全盲の人もいるんだから全盲の人でも楽しめるものにしないと・・。」


「 そう言われるとそうだなぁ。」



で・・・・散々話し合った結果。


二人で仲良くハンドベルすることになりました。


巨漢君はビシっとスーツで、私はドレスで・・・。


まぁ、やるとなったら頑張りますけど、普段は全くやる気がないダラダラしている巨漢君。


やけに張り切っておりまして、かなり怖いです。



「 練習はリハ室でやろうよ!! やるなら本気で!!」


まぁ、私の笑顔、相当ひきつっていたとは思いますが、「 そうだね。」 と返事しておきました。


てか、巨漢君の真剣な眼差しが本当に怖いんですけど・・・・。

仕事をしていると、曜日感覚はおろか、時間の感覚も無くなります。

日勤だけなら良いけど、現実は日勤だけで終わらない訳で・・・。


そして、娘に叱られるわたし。

「 お母さんうるさい! 何時だと思ってるの! 近所迷惑になるでしょ!」


病院で患者さんが亡くなった時、私は気分が沈まないように、あえて賑やかな音楽を聴く。





久々にNick Carter 聴いてました。

Nick 聴きながら頭ふりふりフラフープ♪


「 お母さん!明日早番でしょ!さっさと風呂入って寝なさいよ!」

「 す・・・すみません。じゃ、あと一曲だけ・・・。」

「 一曲だけじゃないでしょ! 時間考えなさいよ。」

「 ごめんなさい。」


どっちが親だかわからんなぁ~。

でも、娘に言われた通り、オトナシク風呂に入って寝るとします。

今度、イヤホンかってこよーっと。

もし、自分の親が余命宣告をうけたら、皆さんはどうするでしょうか?


今日、余命3カ月・・・どんなに頑張って長く生きても半年が限界・・・と告げられていた患者さんが


息子さんと娘さんに看取られ、静かに息を引き取られました。 余命宣告から2年と半年。


本当に大往生だったと思います。



職員全員で御見送り。



病院の裏にお迎えの車・・・。


病院から一歩出たところで赤とんぼが飛んできました。



Manma 日記



赤とんぼは一緒に病院の裏側へついてきます。


不思議・・・。 山奥の病院だから赤とんぼが飛んでいるのは珍しい事ではないのだけど、


娘さんの近くにずっと寄り添うかのようにひらひら飛び続けておりました。


もしかして、トンボになって最期の挨拶に来たのかな?・・・なんてふと頭をよぎりました。



職員全員で出棺を見送ります。


息子さんと娘さんも深々と頭を下げ、一緒に御見送りします。



娘さんは赤とんぼに気付いていたようで、「 あら、ずっとそばで飛んでるわ。もしかしてお母さんかしら?」


そして、「 皆さん本当にありがとうございました。余命宣告を受け、どこの施設でも受け入れを拒否され、


余命三カ月と宣告を受けているにも関わらず、快く受け入れて下さった事に感謝しています。


母もとても喜んでおりました。皆さんの献身的な介護がなければ、ここまで長く生きる事は出来なかったと


思います。本当にありがとうございました。」と。



そんな言葉にボロボロ号泣していたのは、私ともう一人、私が一番信頼している先輩だけでしたが、


ご家族を見ているだけで、本当に素敵なお母様だったと言う事が改めて感じ取れました。


そして、そんなご家族の気持ちを無にすることなく、最期までお世話が出来た事に私も感謝しております。


挨拶が終わると、不思議な事に赤とんぼもどこかに消えていなくなってしまってましたが、


娘さんもきっと、赤とんぼを見るたび亡くなられたお母様の姿を思い出されるのではないでしょうか?



〇〇〇様、本当にお疲れ様でした。


天国で先に待っておられるご主人様と一緒に、娘さんと息子さんの事を見守っていてあげて下さいませ。


そして、最期までお世話させて頂けたことに感謝の意を表します。 ありがとうございました。