地方自治論の教科書。13章立てになっており、学部の半期分の回数に概ねに相当する。本書は『地方自治はなぜ必要か』という問い立てについて政治思想・法制度・公共選択論・ガバナンス・海外自治体との対比・政治哲学といった各種学問分野からアプローチし、各分野の理念と現実とのギャップを提示しながら日本の地方自治を考察していく。
以下私見
地方自治論の一般的な教科書とは異なり、法制度とその運用についての解説はあまり行われていない。『地方自治はなぜ必要か』という問い立てについて論じているので、地方自治論のテキストではあまりみることのない政治思想・政治哲学という規範分野についても夫々1章を割いているところが独特である。
したがって、地方自治論を一通り勉強して、各種制度につき、ある程度の理解がないと読み進めるのは難しい。しかも、なかなかのボリューム(学部で半期でやるのはきついかも)。
本書の前に、まずは『地方自治の基礎』(藤井浩司)などの基本書を精読しておいた方がいいだろう。
