平成二十年九月二十日(土) 於:宝生能楽堂
ワキ 野口能弘 野口琢弘 吉田祐一
アイ 善竹大二郎
笛 内潟慶三
小鼓 森澤勇司
大鼓 高野彰
太鼓 金春國和
後見 寺井良雄 宝生和英
地謡 中村孝太郎 小倉敏克 金井雄資 佐野登
高橋亘 小倉健太郎 金森良充 金森隆普
能「岩船」
シテ 辰巳大二郎ワキ 野口能弘 野口琢弘 吉田祐一
アイ 善竹大二郎
笛 内潟慶三
小鼓 森澤勇司
大鼓 高野彰
太鼓 金春國和
後見 寺井良雄 宝生和英
地謡 中村孝太郎 小倉敏克 金井雄資 佐野登
高橋亘 小倉健太郎 金森良充 金森隆普
能「三井寺」
シテ 今井泰行子方 山内晶生
ワキ 工藤和哉 宝生欣哉 梅村雅功
アイ 善竹十郎 善竹富太郎
笛 小野寺竜一
小鼓 曽和正博
大鼓 柿原弘和
後見 近藤乾之助 朝倉俊樹 和久荘太郎
地謡 小林与志郎 當山孝道 渡邊荀之助 金森秀祥
山内崇生 辰巳孝弥 東川尚史 金野泰大
能「紅葉狩」
シテ 野月聡ツレ 澤田宏司 佐野玄宜 川瀬隆士
ワキ 殿田謙吉 館田善博 殿田達也 宝生欣哉
アイ 善竹大二郎 宮本昇
笛 成田寛人
小鼓 森貴史
大鼓 内田輝幸
太鼓 桜井均
後見 大坪喜美雄 東川光夫 内藤飛能 金野泰大
地謡 前田晴啓 水上輝和 武田孝史 辰巳満次郎
大友順 小倉伸二郎 高橋憲正 藪克徳
五雲会に行ってまいりました。
秋になると切符の消化だとかで非常に混みます。九月なのでタカをくくっていたら、開始十分前でもう正面席はほぼ満席でした。(初シテも2番ありましたし…)
狂言は月並能に続き、善竹&大藏ファミリーです。月毎のファミリー契約なのかな~。
相変わらずコメントはしませんが、楽しみました。
秋になると切符の消化だとかで非常に混みます。九月なのでタカをくくっていたら、開始十分前でもう正面席はほぼ満席でした。(初シテも2番ありましたし…)
狂言は月並能に続き、善竹&大藏ファミリーです。月毎のファミリー契約なのかな~。
相変わらずコメントはしませんが、楽しみました。
実は以外と「岩船」は見ていないお能で、多分2度目の鑑賞です。
辰巳大二郎クン(m(_ _)m)の初シテだそうです。この人も声良し姿良しで勢いもあるし、今後も楽しみな役者のひとりです。今日のお目当てでもありました。
今日はやっぱり初シテの緊張もあったと思いますが、最初に絶句があって残念&声も高めだったのでちょっと苦しい箇所もあり~の、しかしそれを差し引いても満足できる出来の舞台でした。後ジテだと装束の重みや龍戴の重みがあって、舞囃子とかで見られるような体のキレが少し失われていたようにも思いますが、それは慣れればなんてことないはず。やっぱり二十代の若者の能はこうでなくっちゃ、という「岩船」でした。
終わって同門のオジサマと帰りにお話していたら、ワタシはお見かけしなかったんですが、お父上が大阪からいらしていたそうです。さぞやお喜びだったのでは…。
辰巳大二郎クン(m(_ _)m)の初シテだそうです。この人も声良し姿良しで勢いもあるし、今後も楽しみな役者のひとりです。今日のお目当てでもありました。
今日はやっぱり初シテの緊張もあったと思いますが、最初に絶句があって残念&声も高めだったのでちょっと苦しい箇所もあり~の、しかしそれを差し引いても満足できる出来の舞台でした。後ジテだと装束の重みや龍戴の重みがあって、舞囃子とかで見られるような体のキレが少し失われていたようにも思いますが、それは慣れればなんてことないはず。やっぱり二十代の若者の能はこうでなくっちゃ、という「岩船」でした。
終わって同門のオジサマと帰りにお話していたら、ワタシはお見かけしなかったんですが、お父上が大阪からいらしていたそうです。さぞやお喜びだったのでは…。
「経政」も初シテでした。「経政」も割合観ているし、いつかやってみたいな~と思っている好きなお能です。
シテの佐野弘宜クン(m(_ _)m)も初々しく真摯な感じに好感が持てました。ただ、ビックリするくらい兄君と声や謡い方や舞い方が似ています。(それは岩船も同様でした。)年が近い分、親子よりも似るんでしょうかね~。
ただ兄君にもいえるのですが、性格良さそうというか育ちが良さそうというか、何か下世話に言うとちょっと押しが弱い感じがしました。二十代なんだし、破綻してもイイぐらいの思い切った気合みたいなものがもっと欲しかったなぁ~。ともあれ、宝生は若手がどんどん出て来て、本当に楽しみです。
シテの佐野弘宜クン(m(_ _)m)も初々しく真摯な感じに好感が持てました。ただ、ビックリするくらい兄君と声や謡い方や舞い方が似ています。(それは岩船も同様でした。)年が近い分、親子よりも似るんでしょうかね~。
ただ兄君にもいえるのですが、性格良さそうというか育ちが良さそうというか、何か下世話に言うとちょっと押しが弱い感じがしました。二十代なんだし、破綻してもイイぐらいの思い切った気合みたいなものがもっと欲しかったなぁ~。ともあれ、宝生は若手がどんどん出て来て、本当に楽しみです。
さて、次の「三井寺」は、実は全く期待してなかったのですが、あにはからんや、素晴らしかったです。秋を堪能できるお能でした。
このシテは、お名前から、多分現役最長老の今井泰男師のお身内だと思うのですが、過去、拝見した記憶がありません。「三井寺」自体は一度脇正面から観たことがあり、作り物のミニチュアの鐘を鳴らすのが興味深かったことだけ憶えています。
前半は、誘拐された愛児の行方を尋ねる為にシテが清水寺に参籠して「三井寺に行け」という霊夢を授かるところまで。謡がすごく良いのと、シオル型が本当に自然で、抑えていた悲しみが涙となって溢れそうになるのをそっと隠す、という感じがとても良かったです。珍しくシテとアイのやりとりがありました。
中入り後、場所が三井寺となり、鐘楼の作り物が目付け柱のところに置かれます。ちいちゃな鐘と撞木(鐘を鳴らす、鬘帯みたいな幅のある紐付き)もついています。ここへ子方、ワキ、アイ(能力)が登場します。
そういえばこの子方はオンナノコ役だったり、幽霊役だったり、のところしか見たことがなかったんですけれど、今回はオトコノコ、鬘なしです。なんだかすごくカワイイです。今回は途中でおねむの様子でしたが、それもアイ狂言の鐘撞きの寸劇(スゴイ大声だし、鐘撞きの擬音がウマイ!)で目が醒めたよう。
シテはお馴染みの水衣を着て笹を持った狂女スタイル、登場してすぐカケリを舞います。狂女なんかだと、自分のことにかまっていられない訳だから、足はきちんと揃えるよりもむしろ少し離して外股気味の方がらしく見えます。(常に狂女状態の方もいらっしゃいますが…)
アイに「狂え」と言われて「わらわは狂女にあらず」と答え、アイに鐘を撞かせて欲しいと紐を奪います。(ちなみに鐘は音はでません) この間、地謡がとても美しく、なんだか本当に琵琶湖の上に浮かぶ月が見えるような気がしました。
すると子方が母に気付き、ワキにあの狂女の出身地を聞いて欲しいと訴えます。子方が謡うとは思ってなかったのですが、この子方、非常に良く透るイイ声で素直な謡いぶり、ちょっと先が楽しみです。お父上も地謡にいらっしゃいましたが、ハラハラしっぱなしだったんじゃないかな~、と思ってしまいました。
で、ここでシテが謡うのですが、一番イイ所での痛恨の絶句! ああ~、これがなかったらカンペキだったのにぃ~。
とは言え、出色の出来の「三井寺」で仲秋の名月を堪能できた次第です。
このシテは、お名前から、多分現役最長老の今井泰男師のお身内だと思うのですが、過去、拝見した記憶がありません。「三井寺」自体は一度脇正面から観たことがあり、作り物のミニチュアの鐘を鳴らすのが興味深かったことだけ憶えています。
前半は、誘拐された愛児の行方を尋ねる為にシテが清水寺に参籠して「三井寺に行け」という霊夢を授かるところまで。謡がすごく良いのと、シオル型が本当に自然で、抑えていた悲しみが涙となって溢れそうになるのをそっと隠す、という感じがとても良かったです。珍しくシテとアイのやりとりがありました。
中入り後、場所が三井寺となり、鐘楼の作り物が目付け柱のところに置かれます。ちいちゃな鐘と撞木(鐘を鳴らす、鬘帯みたいな幅のある紐付き)もついています。ここへ子方、ワキ、アイ(能力)が登場します。
そういえばこの子方はオンナノコ役だったり、幽霊役だったり、のところしか見たことがなかったんですけれど、今回はオトコノコ、鬘なしです。なんだかすごくカワイイです。今回は途中でおねむの様子でしたが、それもアイ狂言の鐘撞きの寸劇(スゴイ大声だし、鐘撞きの擬音がウマイ!)で目が醒めたよう。
シテはお馴染みの水衣を着て笹を持った狂女スタイル、登場してすぐカケリを舞います。狂女なんかだと、自分のことにかまっていられない訳だから、足はきちんと揃えるよりもむしろ少し離して外股気味の方がらしく見えます。(常に狂女状態の方もいらっしゃいますが…)
アイに「狂え」と言われて「わらわは狂女にあらず」と答え、アイに鐘を撞かせて欲しいと紐を奪います。(ちなみに鐘は音はでません) この間、地謡がとても美しく、なんだか本当に琵琶湖の上に浮かぶ月が見えるような気がしました。
すると子方が母に気付き、ワキにあの狂女の出身地を聞いて欲しいと訴えます。子方が謡うとは思ってなかったのですが、この子方、非常に良く透るイイ声で素直な謡いぶり、ちょっと先が楽しみです。お父上も地謡にいらっしゃいましたが、ハラハラしっぱなしだったんじゃないかな~、と思ってしまいました。
で、ここでシテが謡うのですが、一番イイ所での痛恨の絶句! ああ~、これがなかったらカンペキだったのにぃ~。
とは言え、出色の出来の「三井寺」で仲秋の名月を堪能できた次第です。
最後の「紅葉狩」は人気曲だし、ワタシもイロイロなシテで拝見しています。今回のシテは好きなシテのひとりで、すごく期待していました。「万媚」という面をつける、妖しい色っぽい上臈なのですが、色気を感じるシテもまた少ないです。御宗家も昨年だか一昨年だかにシテをなさってますが、これはやはり二十代では面白みのでない能だと思います。平維茂をたぶらかすには人生経験が足りない感じは否めませんでした。
で、今回のシテは非常に大人しそうでありながら…、そうですね~、女優で例えたら「高岡早紀」みたいな感じ?でしょうか。そこはかとな~く、何かが漂っている感じ…。不覚にもワタシも維茂と一緒に一瞬眠ってしまいました。で、維茂はもう少しお休みでしたが、ワタシはハタ、と目覚めて辛うじて中ノ舞がスタートしました。急ノ舞から中入りまでイッキに駆け抜けていったような印象で、中入りとなりました。
後半の鬼女は凄味がその分足りないようにも思いましたが、また可哀相にも斬られて刺されて切戸口から退場です。(最後はやられちゃうんだから、途中でもっとワキをぶんまわしても良かったのに~。)
で、今回のシテは非常に大人しそうでありながら…、そうですね~、女優で例えたら「高岡早紀」みたいな感じ?でしょうか。そこはかとな~く、何かが漂っている感じ…。不覚にもワタシも維茂と一緒に一瞬眠ってしまいました。で、維茂はもう少しお休みでしたが、ワタシはハタ、と目覚めて辛うじて中ノ舞がスタートしました。急ノ舞から中入りまでイッキに駆け抜けていったような印象で、中入りとなりました。
後半の鬼女は凄味がその分足りないようにも思いましたが、また可哀相にも斬られて刺されて切戸口から退場です。(最後はやられちゃうんだから、途中でもっとワキをぶんまわしても良かったのに~。)
ということで今回もたっぷりお能4番を堪能いたしました。オシリが痛かったです。
今月&来月はお能鑑賞強調月間ですので、おサイフには本当に秋風が…。木枯らしになる前にせっせと観ておこうと思います。
今月&来月はお能鑑賞強調月間ですので、おサイフには本当に秋風が…。木枯らしになる前にせっせと観ておこうと思います。