つづく、とは書きませんでしたが、やっぱりちょっと続きます。
目の前に見ているつもりで、と書きましたが、ワタシの持論は「シロウトはその気になってナンボ」です。別に関西人ではありませんけれど…。
というのは、皆さんそれぞれに精進なさっているとは思うのですが、どうしたって玄人の先生方の長年の研鑽にかなうものではありません。
(よくマンガにあるような荒唐無稽なお話のように、眠れる天才がいれば別ですが…)
そうするとどこで頑張るかといえば、やはり「その気」じゃないかと思うのです。
どこで読んだのかは忘れましたが、ある(老)能楽師の舞台を見て「型が非常に美しく胸に迫るものがあったが、ふと、このおじいさん、何も考えてないな、と思った。」という記事がありました。実際その(老)能楽師は何も考えてなかった(ただ型をしていただけ)らしいのですが、玄人はそうであっても見所にそういうものを感じさせるだけの技術(やそれを越えたもの)があるということだと思ったのです。
そこで「シロウトはその気になってナンボ」が来るわけです。技術が足りない分、「その気」が加わる(う~ん、邪気のカタマリになる可能性も大…)ことで、ほんの少しでも上手に見えるのではないか、と思っているのです。
(もちろん、技術を磨くことが第一義なのは言うまでもありません。)
しかし何もないところには正しい?「その気」は生まれません。事前のお勉強があって初めて、正しい?「その気」になれるんですね。(ふぅ~、やっとここまで来ました)
じゃあ、ワタシはどのようにしているか、ですが…。
なによりもまずはお能を見るようにしています。特に自分が発表会でやる演目が、お能の中でどういう位置づけで、どういう装束をつけて、玄人がどのように舞うのか…、ある程度の到達イメージが具現していないとさっぱりどうやったら良いのか、それすらわかりません。
→イチバン最初に海人キリの仕舞を教えていただいた時、さっぱり分らないので宝生能楽堂まで見にゆきました。確か婦人能(今は立春能)だったと思います。でもその頃はまだ舞台を見ても???だったので仕舞もさっぱり???のまま終わりました。
あるいは素人会で自分のやる演目を出す方を探して見に行く、という手もあります。
もし、発表会が近いのにお能の舞台がそれまでにはナイ!という場合は、国立能楽堂の視聴覚資料(映像記録)を見に行きます。これはお得ですよ~。でも相手はお役所なのでサラリーマンとは業務時間帯がカブリます。なかなか気軽に見には行けませんが、申し訳ないような金額で(ビデオによっては)故人となられた人間国宝の舞台が拝見できます。事前に文化デジタルライブラリーで見たい演目を調査してから電話で予約して出かけます。
http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/ (文化デジタルライブラリー)
その他、自力で入手可能な(つまり一般販売している妥当な価格の)ビデオ等があれば、それをゲットして見ます。(宝生流に限らず、お能のビデオはあまりありません。あっても高い!です。)
謡本も必ず入手します。粗筋とか基礎的なことは親切に書いてあります。
→ありがたいことに、宝生流のお稽古を始めたとあちこちで吹聴していたら、めぐりめぐって知人経由で謡本やら仕舞の教本やらを沢山いただきました。感謝…!いっぺんに物持ちです。
→書籍では、能楽事典?とやらを購入済みなので、気が向いたときにちらほら読みます。
→あとは、月刊宝生!でしょうか。
また謡のテープやCDもできるかぎり入手します。昔の「声の名曲集」全巻を格安でネットオークションで格安で落札しました。また古本屋HPも利用します。
こうして入手した音源をを編集してMDに録音して、毎日の通勤で聞きます。まず、イメトレです。
お稽古テープも聞きますが、発表会ではお師匠様のご注意が舞台で入る訳ではない(入ったら大変!実は過去にそういう人を目撃して仰天しました)ので、発表会イメージを重視して、お師匠様のお声のお稽古テープはそのまま保存してます。
→これを電車の中で聞いていると、音に合わせて自然にカラダが動いたり目線が動いたりするので、かなりブキミな♀状態となります。拍子もそっと踏んでます。(さすがに口は動いてもサイレントモードでやりますけれど。)
→お稽古テープだと注意されたときの反応がそのまま動きにでちゃうので、電車ではなるべく聞きません。
カラダを動かす方はですね、自宅では広い場所がないので動いたつもりでしかできません。
そこで夜遅くの駅のプラットフォームです。人も少ないしフラットで、あれあそこに目付柱が…。しばしばこれが能舞台に見えちゃうんですね~。思わず角トリなんてしちゃって…。
あるいは人目を気にしないで良いのは自宅前の道路です。これも幅がちょうど良いんですね~。これもしばしば(人や車が通らなければ)能舞台に変身します。ただゼッタイに摺り足はできません。
ワタシの仕舞のお稽古やら何からはこんな感じです。
でも全部をいつもやっている訳ではありません。発表会直前には密度がやや濃く、あとはそれなりに、お稽古を楽しんでます。