もしかしたら、辰巳満次郎様

アタリ!

ほほほほほ、このカンの良さよ~!

カンが良くても、記事アップが遅くちゃどうしようもありませんが~

さて、一昨昨日の金曜日には、奈良の薪御能にて能「清経」をお務めになった
辰巳満次郎様

なぜなら、平清経が自殺(入水)したのは九州の海なのですから~。
(よぉし、繋がった~

さて平清経いうお方は、平重盛の三男で母は正室の藤原経子、
横笛の名手として有名なお方だったそうな…。ミヤビ男だったんですね。
平家物語の「太宰府落」の段に、
小松殿の三男、左の中将清経は、本より何事も思ひ入れける人なれば、
都をば源氏が為に攻め落とされ
鎮西をば惟義が為に追ひ出さる
網にかかれる魚のごとし
いづくへゆかば遁のがるべきかは
ながらへ果つべき身にもあらず
とて、月の夜、心を澄まし、舟の屋形に立ち出て、
横笛音取朗詠して遊ばれけるが、

閑しずかに経をよみ念仏して、海にぞ沈み給ひける。
男女泣きかなしめども甲斐ぞなき。
と八方塞がり、未来に希望なし…、と多分「欝状態」となり?
入水に至ったと…。
まあ、でも本人じゃないから、ホントのトコロの深い心境はわかりません。
そこのスポットを当てた(というか清経の弁護?)のが、世阿弥でした~

本人しかわからない心境を、どうして残された者が理解できましょう?
ご多分に漏れず、残された清経の妻もそうであったのです。
ツレである「清経」の妻なんですが、まり子が今までみた中では、
2011年のコレがベストです。
http://ameblo.jp/manjirofanclub/entry-10957987269.html
能「清経」は清経サマご本人がその弁明の為に登場するのですが、
妻が良くないと、つまり単に恨み言を述べるだけの妻だったりすると
このお能は台無しで、せっかく夫が夢の中に出てきたのに、
え~、せっかく出てきたのに、居場所ないじゃん、オレ…

いいよいいよ、シテはオレなんだから、謡って舞って、ハイ、帰ります~

みたいな印象になっちゃうんデスね。(←まり子の印象)
さて、この日の奈良の薪御能では、妻役は辰巳大二郎サン、
2011年の時も妻役をお務めになられています。
マンジロウ&ダイジローのタッグなら、絶品!だったに相違ありません。
シテと同化する辰巳満次郎様


天狗や龍神となれば巨大化


若い女になれば華奢にも可憐にもなり、
母になれば肝っ玉でわが子を探しにゆく…(←25日の「隅田川」をお見逃し無く~

きゃ~、観たかったよ…

東京の第6回「満次郎の会」でさ「清経」やらないかな?
「音取」の小書付きで…。
おっと、脱線だい。
で、気分次第でここまで書いてたけど、能「清経」の粗筋を知らない方は
もしかしたら、なんのこっちゃ?だと思います。
まり子がダラダラと書くより、こちらのHPをチェックしてみて下さい!
スッキリと良く、わかります!
the能.com 演目辞典:清経(きよつね)
http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_020.html
さてさて、能「清経」のハイライトは、クセからキリへとぶっちぎる
地謡とシテの舞であります。
この能はミヤビ男がシテではありますが、二番目の修羅能でございます。
なので、シテは美々しい武将姿で登場するのでありますが、

舟の舳板に立ちあがり 腰より横笛(ヨオヂョオ)ぬき出し 音もすみやかに吹きならし 今様を唄ひ朗詠し
いくらネットを探しても、戦績なんかひとっかけも出てこない清経サンだから
武将姿は、オトコの花道ね。
でも、そんなミヤビ男でさえ死後は修羅道に落ちているという哀れさ…。
能「清経」のハイライトは、ホントに観ドコロ聴ドコロ満載です。
詞章も素晴らしく、読んでいるとホントにその場面が目に浮かぶようです。
全部のご紹介はあまりに長くなっちゃうので、一部だけ。
げにや世の中のうつる夢こそ真なれ
保元の春の花寿永の秋の紅葉とて
散り散りになり浮かむ 一葉の舟なれや
柳が浦の秋風の 追手がほなる跡の波白鷺の群れいる松見れば
源氏の旗をなびかす多勢かと肝を消す
ここに清経は 心にこめて思うよう
さるにても八幡の 御託宣あらたに心魂に残ることわり
まこと正直のこうべにやどり給ふかと ただ一筋に思ひ取り
世の中の憂さ(宇佐)には神もなき物を
何祈るらん心づくし(筑紫)に
宇佐の神様の御神託は当たると有名(弓削道鏡のエピソードとか)だったので…
清経は神様に見放され、仏にすがったのでしょうか?
仏は常にいませども 現ならぬぞあわれなる
人の音せぬ暁に ほのかに夢に見えたもう
そうして、清経の死が平家一門の「心憂きことのはじめ」となったのでした。
素晴しいお能ですよ~。
ぜひ一度は、観て下さいね~。
できれば、辰巳満次郎様


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