辰巳満次郎先生のメルマガ・アーカイブ、第26弾をお届けいたします。
この号は、平成22年6月25日に配信いたしました。
どうぞ、お楽しみください。
今回は「狂」の姿です。
「狂」はすなわち「クルヒ(クルイ)」
という事で、何かの事件があり生き別れて狂おしくなり、
その人を求めてさまよい、
パフォーマンスをしてアピールしたり、
情報収集する…というジャンルです。
行方不明になった我が子を、恋人を、主君を…
探し求めて群衆や人々の行き交う街道や宿場などで
パフォーマンスをします。
その出で立ちとしましては、
共通のアイテムとして笹を持ちます。
これは「クルヒ笹」と申します。
これを持つことにより、遠くからでも
「物クルヒが来たぞ、面白そうだ」
となる訳です。
また、持ち物だけでなく、
どこかに「異風」を感じさせるものがあります。
唐織姿の女性ならば「肩脱ぎ(片脱ぎとも)」といって
唐織の右肩袖を脱いでおり、
狂おしく舞う姿に合う姿です。
「高野物狂」などの男物クルヒは
烏帽子に「頂頭掛け(ちょうどかけ)」という
細帯紐を掛けて「異体」を表現します。
男女とも「水衣」という衣を着用する時には
水衣の「肩上げ」をして、同じくアクティブな姿になります。
クルヒ物は感情の起伏もあり、
クルヒの最中に似合う姿となっていますが、
静かな場面でもかえって「哀しさ」を表す効果となっています。
次回は「鬼」の姿です。
辰巳満次郎


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