ブログ更新がすっかりお留守になったままではございまして、この記事も書きかけのまま、熟成を待っていた次第です。(←大ウソ

さてさて11月27日のは、待ちに待った辰巳満次郎様

「融 笏之舞」





でございました。
気は優しくて力持ち?チョ~人気者の辰巳満次郎様

なんでも「融 笏之舞」は約50年ぶりの上演でそれ以前の上演は江戸時代までさかのぼるという、稀曲の小書とのこと。
ホントに大変な演目らしく、辰巳満次郎様

「秘中の秘」笏之舞について ①・②・③
今年は震災の為、満次郎様

ちゃんと帳尻が合うようにできているような気がいたしますなぁ~。
さて、その「融 笏之舞」はもちろん後半、正体?を明かした融の大臣が在りし日の姿のままで笏を持って舞うのがメインなのでありますが、前半の老翁の姿の時が素晴らしかったのであります。
老翁@実は融の大臣が登場し、旅の僧とのやりとりでの満次郎様

これがまあ、完全にコントロールされた自在な謡で、あたかもタイムスリップしてその場に居合わせたかのような錯覚を起こす臨場感が…。
よく響く声は、歌舞伎だったら口跡が良いというのでしょうが、歌詞がハッキリと、その意味と感情とを見所に余すところなく伝えてくれます。
特に「おや、月がのぼった」という短い詞。
これだけで、能楽堂の舞台の屋根の上には大きな冴えざえとした銀色の月が昇り、
能楽堂の舞台スレスレにまで、透明な冷たい水が満々と漲りました。
まり子は、その水の中から舞台を見つめるおサカナになりましたよ。
そんな不思議な光景が確かに見えた、舞台でありました。
後半は、白の狩衣に赤い鉢巻が映える高貴なお姿!
中将の面がいつになくイケメンに見えたのは気のせい?ではありますまい。
まり子的解釈を勝手に述べさせていただければ、笏を持つのは融の大臣のこの世で叶わなかった政治的栄華への執着の現れで、天皇となって五穀豊穣国家安穏を祈りたかったからこそ、笏を持ち「翁」と同じ型を舞うのかなぁと…。
「融 笏之舞」は優美で感動的でありましたが、「融」は鬼の能なんだなぁ、
としみじみ感じたまり子でございました。
今年の満次郎様

