年もいよいよ押し詰まりまして…、やっと「龍田」の感想など | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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まり子です。

2010年もぎゅうぎゅう押し詰まった、今日は30日。
そう言えば、能「野守」の後ジテの登場の時に、

 「ときはとらふす野守の鏡」

と謡いますねぇ。
お稽古した時からずっと、面白い表現だなぁと思ってたのですが、調べてみたら「鯨(イサナ)寄る浦虎伏す野辺」という言い回し(人跡稀な土地の意)があるそうですね。
多分これを踏まえて、さらに寅と虎を掛け、伏す=起きていないで、まだ寅の刻にならないって意味のようです。

何でこの話題かというと、ぎゅうぎゅう→牛→丑→寅→虎伏す、の連想で「歳はとらふす」ってシャレたかったからなのよ。
シャレられ~、ませんでしたなぁ…。


さて本題の五雲会での「龍田」ですが、この曲は四番目物だが略脇能としても扱われる曲…、そういえば宝生流の神楽は三曲とも同じ扱いです。

十二月の曲目としてはほぼ毎年出ていた「絵馬」が今年はラインナップに無かったので、「龍田」が初番になったのでしょうね。

開演5分前に滑り込んだまり子、正面席を探すも既に舞台に近い場所には空きが無く、脇正面の舞台寄りの席を確保いたしました。

実を言えば、辰巳満次郎様の「誓願寺」にも始めは興味を覚えなかったのと同様、「龍田」にも触手が動かなかったまり子…。

しかし食わず嫌いではイケマセン。
克服するにはまずお勉強(お稽古)から…、ということで早めに始めたお稽古も進捗がはかばかしくなく、おさらいも含めて足掛け3ヶ月かかりました。
準備万端といえましょうか?????

能「龍田」に登場する僧(ワキ)は日本全国にお経を納めて歩く聖(ヒジリ)…。
南都(奈良)は済んだから今度は河内(大阪南部)に行くのだよ~、と謡います。

これを何気なく聞いていたのですが、突然、ハッと気付きました。
龍田明神はやっぱり三郷の地の龍田大社の方じゃないかと…。

下の地図をご覧下さい。
ワキ僧達は、

 奈良の都を立ち出でて
 有明残る雲間の西の大寺を餘所に見て
 早暮れ過ぎし秋篠や
 外山の紅葉名に残る
 龍田の川に着きにけり

というコースを辿ります。

能楽師 辰巳満次郎ファンブログ-奈良県の地図


この地図の群青色で囲んだあたりを通ってるのです。
そして到着した龍田川は、水色で囲ったあたりと思われます。
ワキ僧達は「此川を渡り。明神に参らばやと思い候」と言うのですから、奈良から見て龍田川の手前にある(法隆寺近くの)龍田神社であるはずがありません。
(赤の星マークあたりが龍田大社)

前の記事で、っていうか今までずっと思い込んでいたことが、本番の謡を聴いて違うと気付かされるなんて、謡の力ってスゴイもんです。
(それよりナニお稽古してたんだか~。)

はい。こちらが龍田大社の拝殿から写メしたものです。
ご一緒に参拝いたしましょう。

能楽師 辰巳満次郎ファンブログ-101106_152759.jpg


話はお能に戻ります。
紅葉を掻き分けて川を渡ろうとしたその時に、前シテ登場です。
全身もみじを織り込んであるすばらしい唐織をまとって登場の山内崇生師。
なんていうんでしょうかね~。
辰巳満次郎様が黒頭(クロガシラ)の似合うオトコ♪だとすれば、山内崇生師は泣増(ナキゾウ)の似合うオトコ?
美しゅうゴザイマス。うっとりドキドキ

実は龍田姫の化身の巫女(カンナギ)、自分の美しい衣裳を台なしにされちぁあタマリマセン。
「紅葉と申すは当社の神体。神の畏れもあるべければ。戒め給ふ心もあり。」とワキ僧に教育的指導!

そして龍田明神に参詣するならこっちよ、と道案内します。
そして、大小前に置かれた龍田明神の宮に見立てた作りものを挟んで、見所から見て右にワキ僧、左にシテが座りました。
(^o^)v…脇正面でラッキー♪

ここから充実の地謡が始まります。

 下紅葉塵に交わる神ごころ
 和光の影の色そへて
 我等を守り給えや

このあとシテは下ニ居したまましばらく地謡を聞く形になりますが「龍田の嶺はほのかにて。川音も猶冴えまさる夕暮。」で、わずかに面を上げて色付いた山を見、またわずかに面を下げて川音を聞き、元に戻して暮れなずむ景色を愛おしむ…。
このわずかな瞬間が絶品で、もうホレテマウヤロ~の世界…♪♪♪

そして後半、舞台上の宮に入ってお着替えを済ませて登場した後ジテ♪
夕焼け色(やや薄めのオレンジ色)の長絹をまとった美しい龍田姫は、アララ、ちょっとミニスカート…。(>_<。) くぅ~。

ま、美しいのは変わらないので…。
このあとシテは丁寧に神楽を舞うのですが、山内崇生師のブログによれば、この「龍田」の神楽が一番しっかり(重めに)舞われるのだそうです。

きっと、そう舞わないともみじがみんな散り落ちてしまうから…ってのがまり子の考えなんですけど、いかがでしょう。

あ~、お稽古も時間かかりましたが、この記事にも時間かかりました。
龍田姫に、非礼にならないだけ、時間が必要だったってことですね。
そして、辰巳満次郎様が舞う「龍田」はどんなになるんでしょう、と想像してみるまり子なのでした。


まり子キスマーク