「誓願寺」レポ-その1 | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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はい。観て参りました、宝生6月度月並能。
何だかモッタイナイぐらい、空席が目立ちました。
満次郎様の「誓願寺」があったのにぃ~。

思うに、このお能の良さ&面白さを「誓願寺」ってタイトルが半減させてるような気がするな~。
だったらどんなタイトルが良いのさ、と言われると…
やっぱり「誓願寺」がベストなんだろうな、と元に戻っちゃうんですけど…。


さて、満次郎様の「誓願寺」は、
前シテの里女は限りなくいじらしい信仰深く慎ましい若い女。
後シテは歌舞の菩薩以上の神々しさであたかも女神(西王母かと思ったぐらい)
の如くで、予想していた「肉感的で色気を醸し出すシテ」
は完全に裏切られました!
ヤラレタ~クラッカー、サイコー!ラブラブ!

特に前シテの里女のいじらしさったら、六尺オーバーの女とはとても思えません!
めちゃくちゃラブリー音譜なの♪

里女は登場してからワキの一遍上人(偉いので床几に腰掛けている)の所に行き、
膝をついてお札を頂きます。

里女は深緑&橙色に菊等の花が織り出された唐織を着てますが、
コレが満次郎様好みの着付け方♪ 

それってどういうのか知りたいでしょ?

唐織りは所謂、お能風の着付けで衿を抜かずに立てて胸前を菱形◇に開けるような、
アレです。

アレって、今の女性が着物を着るときの帯を年が若いほど上に締める
(つまり女性の年齢による肉体的特徴に合わせてる)のと同じように、
若いほどあまり開けない、のですが、満次郎様はわりとタップリ開けるのがお好みとか…。
(でもまたそれが似合うんだな~♪)

これを裾すぼまり(両膝が殆ど開かない状態)に着てるんだけど、
この状態で舞台に腰を下ろすってタイヘンなんですよ。

考えてもみてくださいな。着物を着た時に裾がはだけないように
右足をちょっと後ろに引いて、上体はまっすぐのまま腰を下ろすことを!
さらに右足の踵はお尻の下に、左足は立てて踵は極力カラダに寄せるんです。

さあ、このポーズ、ちょっとしてみましょうか。なかなか苦しいものだってワカルでしょ?

この状態でシテは舞台中央に位置し、ワキと会話をするたびにワキの方へ向くんです。
それもしとやかな里女、お尻でぐいっと漕いだり、膝をガバッと開いたりはしませんよ。
見所からは気付かれないように静か静かに動くんですよ。

これは力が要りますよ~。それで謡うんですよ~。
アクマで背筋はまっすぐ、顎を引いて面を微かに俯け(クモラセ)て!

この肉体的に苦しい瀇状態が、信仰深い里女ないじらしさ清純さを表現してるのです。
(筋肉痛になるのも道理なり~、ですよ)

特に地謡が「至誠心深心回向。発願の鐘乃声。耳にそみて有難や。」
のところでは、わからないぐらい少しだけ面を右に向けて俯いてじっと聴ききいる姿。

これががまた本当にいじらしくて、感動しましたぁぁぁ~ッ。ドキドキドキドキドキドキ


そんないじらしい里女が、誓願寺の額を六字の名号(南無阿弥陀仏)に変えてくれ、
とワキに頼むところで、スッと空気が変わり、いじらしい信仰深い里女の姿のまま
中身だけが歌舞の菩薩となった和泉式部に、完全に変わりました!

スゴイっ! スゴすぎるわっ!ロケットロケットロケット


後半に続く…。