「海人」ってこんな話? 前編 | 能楽師 辰巳満次郎様 ファンブログ

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こちらは、不休で普及に励む宝生流グレート能楽師の辰巳満次郎先生♥に「惚れてまったやないかぁ~!」なファン達が、辰巳満次郎先生♥と能楽の魅力をお伝えしたいな~、と休み休み、熱い思いをぶつけるブログです。

既に今週の土曜日に向けて、カウントダウンしています~。
既に今月だけで、なんと三番ものお能のシテをお務めになられている辰巳満次郎師♪

奈良にて「舎利(シャリ)」→ 東京にて「善知鳥(ウトウ)」→ 今度は熱海にて「海人(アマ)」

どれもこれも見応えのあるものばかり…。
きゃ~っ、ステキっ♪

マンジローっ♪ひゅ~ひゅ~♪

満次郎師の「海人」を観るの、初めてなんです~♪♪♪
満次郎師ブログに記事がアップされていますね。
http://manjiro-nohgaku.com/blog/

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さて、昨日の続きをちょっとおいて、「海人」の粗筋と見所を、
私の解釈でご紹介しましょう。

これは我が子の為に命を捨てた、壮絶な母の物語…。

昔々、藤原房前(フササキ)という高貴な大臣が、
現在の香川県さぬき市志度の辺りに家来を引き連れてやって来ました。

房前くんのお父さんは藤原淡海(タンカイ)、そのお父さんは藤原鎌足と言う立派な一族なんです。
だったら淡海=不比等じゃん、ていう人がいると思うけれど、
まあそれは実名じゃあこのお話が進まないってことで…。

実は房前くんには母と呼べる人が無く、お母さんの記憶は何もありません。
「ボクのお母さんは誰?」って聞いても、家来達はむにゃむにゃ言うだけで、
何も答えてくれません。

それでもある時、房前くんが生まれたのは、香川県さぬき市志度の辺りの
房前って地名の所だったんだ、ということを知ります。

ショックを受ける房前くん。

もしかしたらお母さんは賎しい身分の人なんだ、自分はこの藤原の家の跡取りに
相応しくないのかもしれない、でもそこに行けば何かお母さんの情報が得られるに違いない、
亡くなっているならご供養して差し上げたい…、

そう思って京からはるばると、この地まで出かけてきたのでした。


さて着いたのはいいけれど、何処で何を聞けばいいのやら、皆目見当がつきません。
もう日も暮れて、月が上りました。 

するとそこに、仕事を終えた一人の海人の女がやってきます。
年格好も、房前くんが想像していたお母さんぐらいの女です。

もしかしたら何か知ってるかも…、と家来に尋ねさせることにしました。
直接尋ねたかったけれど、身分の高い房前くんは直接、身分の賎しい者と口をきいちゃ、
いけないんですよ。

「あ゙~、そこの海人、我々は京から旅をしてきたんだが、

ちょっとそこら辺の海中に海草がぎっしり生えている。刈ってくれ」
なんて家来は偉そうに言います。

すると海人の女は、
「高貴なお方なのになんとおいたわしいこと。遠くからの旅、
お疲れでお腹もすいてらっしゃるですね。あの海草をわざわざ刈らなくても私が持っています。
どうぞ、差し上げますわ」

と、ナイスぼけ! (本当は、ぼけ、ちゃいますよ!)

「海草など食わん!ここにおられる高貴なお方が月を見るのに海草が邪魔なのだ」

「そう言えば、昔も同じように高貴なお方が同じ事をおっしゃいましたわ。
そして竜宮に奪われた玉を取り戻したのも同じこの浦の海人…」

「なに!それは本当か? もっと詳しく話しなさい」

つづく