エジプトです。
今日もガンガンに暑いです。
暑さのせいか、それともお国柄か、
外出すると必ず一回はけんかに遭遇します。
日本と違うのは、みんなそこに率先して参加することですね。
議論にも加わるし(結構知らない人同士が普通に話すことが多い)、
けんかは野次馬から止めに入るひとから、一緒に戦うひとまで。

そんなけんかがよく見られる場所の一つが、メトロです。
私はメトロが大好き。

若者(というか少年だな…)が運転するトゥクトゥクは現地のひとでも警戒して乗らない人がいるくらい、危険で怖いもの知らずだし、(でも娯楽としてはシャァビ感は満点で楽しいっす)
小さなシャトルバスみたいなのは、どこに行くかがみただけではわからないので、
かなり慣れが必要。
タクシーはメーターでも時にやな思いをしたり、あるいは行き先を知らないのにOKしてのせて、すごく迷ったり。
バスもあるけど、路線になければそれまでだし。
そして、これらの車につきものなのが、渋滞。
引っかかると全く時間が読めません。状況もわからないし、かなりやきもきします。
なにか目的があるときに一番確実なのは、メトロなのです。

もう一点、メトロでいいのは、女性車両があることなんですねー。
女一人でも比較的安心して乗っていられます。
Ladiesと英語でも書いた青いランプとランプの間に、女性車両が来ます。
そのうち、緑のラベルの車両は、遅い時間になると男性も乗っていいことになっていて、
赤いラベルの車両はずっと女性車両。

この女性車両に乗ることが許される男性は、
子供、そして、私が内心「はったあいずさん」と呼んでいる行商の人々。
行商の人々には女性も男性も子供もいるのですが、
だいたい「はったあいず~」という大きなかけ声と大量の商品とともに乗り込んできます。「~いらんかね~」という感じですね。
ティッシュ(家庭用のやつを5パックばかり。かなりかさばります)、扇子、子供のおもちゃ、バンドエイド、胡椒や塩を入れる容器、女性用髪留めやヒガブ用のピン、櫛、携帯電話のチャージカードなどなど、ありとあらゆるものが車両の中で取引されています。
時には「はったあいずさん」ではなく、本当に物乞いの人々もいます。目が見えなかったり、腕が不自由、足が不自由、などなどの人々。一応なけなしの商品を持って商売をしているひともいれば、物乞いだけで車両を回っているひともいます。
混んでいる車両に、こういう人々がひっきりなしに出入りし、そして、「おりるひとが先」というようなルールはなし、乗るときも我先に押しのける感じ、降りるときもがむしゃらに乗ってくる人と戦う感じ、と、こんな感じでかなりドラマティックな車内です。
また、座席についても、「そこには大人のお尻ははいらんだろー」というような隙間でも、隙間があればお尻を押し込めるのがこっちの座り方。そういうわけで、日本のようにへんに隙間のあるだらけた座り方をしたシートなど、一つもないのはいいことかもしれません。
暑くても押し合いへし合いしてできる限り座るのです。
また、ちょっと大変そうだな、という人を見たら、ほんとうにすぐに座席を譲ります。
こちらでひとを呼ぶときは「プスプス」と、声ではなく空気だけで音を口で立てるのですが、そうやって相手の注意をひいて、ぱっと譲ります。
大荷物で大変そうなひと、おばあさん、赤ちゃんをだっこしているひと、などをみたら、即座に誰かが席を立ちます。

昨年滞在したときは、なぜかしょっちゅう席を譲られた私。
黒い服きていたからかなぁ、と思ったり(喪に服している意味もあるようです)、体調が優れないから顔色があんまり良くなかったのかなぁ、とおもったり、その理由は謎なのですが、
「ぼけっとしてないでここすわんなさいよ!」とおばさんに言われたり、私より年上だろうと思われるひとに座らされたり…

でも今年はまったくそういうことはありません。ある意味、元気にみられているということですな。よいと思います。

さて。
このようなあったかい感じの女性車両ですが、
夜遅くなってくるとちょっと事情が変わってきます。
赤いラベルの車両なのに、男性が乗ってくるのです。
夜遅くに外出している女性は比較的少ないこともあると思いますが、一般車両よりすいているように見えるんでしょうね。
うっかり乗ってしまって、「ここ女性車両よ、赤いところだから終日男性はのれないのよ」とか言われて、「あー、ごめん、次で降りるよ」となれば、平和でよいのですが。
ここで、夜遅いし、暑いし、いらいらしてたり、あるいは明らかに確信犯でのってきたりした男性の場合、たちが悪い。「なんで乗っちゃいけないんだよ」の一言から喧嘩になります。女性を殴ったりする男性もいて、そうなると怒り狂った周りの女性が今度は席の上に立ち上がったところから馬乗りになったりして、大乱闘です。
あるいは、女性の連れ、旦那さんとか恋人とか、兄弟とか、が、女性車両に連れ込まれている場合もあります。
このばあい、最初は文句言われたのが男性だったのに、気がついたら女性同士の壮絶な戦いに発展したりします。
駅から駅に着くまで、その車両は阿鼻叫喚。「ハラース!」(もうやめー!)という絶叫がこだまするのです。
こういう場合、安全第一に考える場合は、即座に次の駅で降りて、一台待つのがよいようです。
(走り出してしまうと密室なので、逃げ場はありませんので。)
ただし、一台送った次の電車で、また乱闘勃発、ということもありました。
暑いし遅くなって疲れてるし、なのは、皆同じなのです。

もひとつ車両で不思議なのは、降りる専用の出口と乗る専用の出口、というのが一応あって、(みんな無秩序に乗ったり降りたりして押し合いへし合いになるからだと思われるのですが)、しかしながらこれがその通りだったことは滅多になく、普通にどのドアも乗り降りどちらにでも使われています。(だから結局押し合いへし合いになるのですが)
ただ、時々どういう法則かわかりませんが、開かない扉があるのです。
そうなると、降りるひとも乗る人も「ミフターシュミフターシュ」(だめだここ開かないわ)と大慌てで別のドアに突進します。まるでフルーツバスケット(ゲーム)みたいな感じです。

座席は固いし、扇風機もあったりなかったり、あっても壊れてたりで暑いし(手すりをもつと熱をはなっています)なのですが、こんなかんじのドタバタなメトロが、私はやはり使い勝手よくてとても好きなのです。