KyokoOikawa.violin.com-エロイカ35

息のなが~い漫画、いくつか名作がありますな。
少女漫画でいくと、
ガラスの仮面とか。
クリスタルドラゴンとか。
そして、本日のタイトル
「エロイカより愛を込めて」…先頃35巻が発売された模様。

最初の2作品については、もし万が一、結末が読めずに終わろうものなら、発狂するだろ!というようなモノでございますが、
このエロイカは、それぞれのストーリーである程度区切りがあるタイプ、小説でいえば、鬼平犯科帳のようなかんじですな。
しかしながら、その味わいは、巻を追うごとにますます増してゆく、素晴らしい名作といえるでございましょう。

ホモで泥棒の伯爵と、仕事の鬼で潔癖性の少佐が、なぜか行く先々でからみあい、たすけあい、足を引っ張り合うこの面白さ…
少佐がばりっと決めるところは決めるのは当然としても、伯爵ものんきでお間抜けではありながら手に職有り、二人が足を引っ張り合ってなかなか二枚目には落ち着かせず、いつも二枚目半か三の線をうろうろしているなかで、ふとかっこ良かったりするのがきらりと光って、魅力なんでございますな。

しかし、ワタクシが今日書きたかったのはそんなことじゃございませんの。

この少佐、お掃除が大好きなのね。
35巻ではことさらに、お掃除しまくっているんでございます。
シーンはクリスマス休暇中だっていうのに、自分の家はもとより、人の家だろうと、なんだろうと、もう、時間があったら掃除と修理。ヴァカンス中のレジャーとして掃除して、さらに大晦日の大掃除ももちろん、ああなんて幸せなシーズンなんだろう、と、もしかすると思っているのかもしれません。
きっとワタシのお部屋に入ったら発狂してすぐに掃除とお片づけを始めることでしょう。
今度遊びにきてほしい。

いやいや、脱線しました。

この潔癖性の少佐のお家の執事さんは、そんなわけで、ご主人様が帰ってくるまでに、少しでもゴミ等が堕ちていないように、カーテンのドレープが乱れていないように、どこも故障が内容に、万全の体制で持ってお家を切り盛りしているわけでございますが。




実はですね。
うちの裏に、どうもこの執事さんが出稼ぎに来てるらしいんでございますよ。



と、いいたくなるほど、挙動がそっくりなおじさんが、裏にいるんでございますよ。
先頃新しくたったマンション。これが新しくなった頃に出没するようになったこのおじさん。

ある日久しぶりに寝坊をぶっこいていたところ、不思議な音で目が覚めたんでございます。

「ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!…」

まるで軍隊の行進のように大変に規則正しく、ゆっくり近づいてくるこの音…ナニ!?

目が覚めたものの、最初はうつらうつらしてまた寝てしまいましてね。で、またふと目が覚めると、ま~だ同じ音が、今度はさっきより近づいてきているわけですよ。
さっき目が覚めかけてから一時間は経ってるよな!?一体何ごとだべ!?

と、階下におりておそ~るおそ~る裏のベランダを細く開けたところ…
件のおじさんが、そりゃもう一心不乱に、道をはわいているのでありました。
「ガタン!」というのは、ちりとりにゴミを入れて蓋を閉める音だったンす。

いやもう、あれですよ、うちの真裏は、べつにそのマンションの範疇じゃないんですよ。
ですがこのおじさま、マンションから左右20メートルずつはのびている路地一体を、テリトリーと判断して、ひたすらにはわき続けているんでございます。

母に聞いたところ、これは今日に限ったことでなく、彼がご出勤した時には必ず、しばらくすると、

「ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!ザっ…ザっ…ザっ…ザっ……ガタン!…」

という音が、午前中いっぱいその路地に響き続けるそうでございます。




もうね、仕事の鬼ですよ。
ほんと一心不乱。
挨拶するのもはばかられるほどなんですが…
それだけではありません。

最近、母もワタシもあることを目撃したのでございます。
それは!

彼が任務、もとい、仕事をおえて帰宅する時のこと。
なんと、仕事場から徒歩10分強の駅までの道すがら、目につくゴミはすべて!
すべて!拾って帰っているのでございます!

なんと…

今日も、エロイカ35巻を買って帰る道すがら、ふとみると、さーっと通りを横断して、路上に放置されたアイスクリームの空きカップにかけよるおじさん(仕事が終わって帰る途中なのでもちろん持ち場のマンションから遥か離れたところでございます)の姿が…
その手にはすでに、いくつかのゴミが握られているではありませんか…

わが町一体の美化は、彼の任務によって守られているのかもしれません。
彼はきっと少佐の部下にちがいないのでございます…