何だかんだで四年。演劇というものを、どう作るかっていう部分でやっぱり昔と違う。と思う。
初めの頃っていうのはコントみたいな事もやったし、叫んだり、それこそ脱いだりもして、それがテレビでは観れない小劇場という世界なんだと勘違いして、もうただひたすらに叫ぶ。そんな感じ。セリフもわざと過激に作ったり、まぁ、要するに意気がっていた、という状態だったと思う。
そこに存在し得ない激情というのを無理矢理に捏造して、無理矢理に盛り上げる。そういう演出というのは実は前回の「くずの一分」まで続いていたように思う。
今回は感情の強要はしないって決めてます。
稽古中に役者に「足りない」とか「もっと」とか、そんなことばかりを言っていたような気がする。
役者という自意識を一切排除して、後からついてきた感情に正直に作っていったら良いと思うのですが、今までとは明らかに違うやり方なので、それがどうなるのか、正直不安もあります。結果として、静かに淡々と語る長セリフがあっても良いと思ってます。
ひたすらにリアリティーを追求しましょう、という話とも違います。
魚屋さんが丁寧にうろこを取るように、役者は丁寧にその役がまとったうろこを剥がして裸にしていきます。八百屋さんが大根についた泥を洗い流すように、その人生を晒します。
テーマは何かと言われたら、人間です、と答えられるような舞台を作って、そこにいた自分を誇りに思えるような舞台をこれから皆に助けて貰いながら作っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
町田