「翻訳は文化である」 藤岡啓介 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.


タイトルと目次の内容から買ってみた本。
でも今ひとつだった~。残念。
では何がそんな印象を持たせたのか?

ひとつにはこの方自身が翻訳者であるようなのに、
ご自身の体験によるその裏事情的なものがほとんど書かれておらず
だれかのこぼれ話の寄せ集め的なものになってしまっていることにあるかな。

章ごとのテーマを目にした時には「読んでみたい」と思ったのですが、
実際に読んでみると話が挿話の連続で、結局何を言いたいのかよくわからない。
これは、私が途中から読むのが面倒になって、斜め読みになってしまったことにも
原因はあるかもしれないけど。

よく誰かと話しを始めて、例として別のことを話しているうちに
元々何を話していたのかがわからなくなってしまうことがあるでしょう?
あんな感じなのですね。
「こんなこと、あんなこともよくあります」と言いたいがためだとしても、
これでは「翻訳の妙味」が伝わってこない気がします。

それからテーマが壮大というか、対象者が絞りきれていない感じ。
筆者ご自身も「翻訳者を志す方も、翻訳ものを読むのが好きな方も
楽しめるように」と書いていらしたので、その目的に従って書いた
ということだろうけど、薄手の新書では盛り込みきれなかった感が残ります。

そしてもう一つは、重訳について。
これは原書がロシア語の作品を、英語翻訳では名の知れた
ある翻訳家の方が英語版から訳したということについての批判でした。
その翻訳者はイニシャルだけでしたが、多少本読みなら想像がつくあの方で、
ちょっと嫌な感じでした。

批判は決して悪いこととは思わないし、必要な場合もある。
そしてほかの方の作品中でも、もっと具体的な名前を挙げて
批判している例もある。
なのに、それを嫌な感じとは思わないことも往々にしてあるのは多分、
作者への思い入れ度の違いもあるんじゃないかと思います。

そう言う意味では、見ず知らずのこの方が、私の好きなあの方を
批判することにちょっと反感を持ってしまったという、まことに
個人的な事情ではあるわけで、私の方こそ宜しくないことを
書いているのかもとは思いますが。
実はこれが最初の章で出てきたので、以後集中できなかったのは確かです。
そんなわけで、残念な気持ちで読み終えました。
筆者には申し訳ありませんが。

ただ翻訳をすること、翻訳ものを読むことの楽しみ方に関してなら、
村上春樹のNHKのテキストの方が、改めて場を割いて書いていないにもかかわらず
翻訳のなんたるかについては、はるかに得るところが実際、私には多いです。



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