1・3巻を先に読んでしまいましたが、「ここではないどこか」シリーズの第2巻です。
このシリーズ3巻ともに、生方先生という作家の方にまつわる人々のお話と、
もうひとつ黒髪の男性がメッセンジャーとして現れる歴史もののシリーズの
ふたつから毎回成立しているのですが、なんとなく各巻ともに生方先生と
何の関係があるのだろう?と不審に思いながら読んでいました。
でも今、目次を見ていたら今回のギリシャ悲劇「オイディプス」と「スフィンクス」には
メッセージⅠ・Ⅱというサブタイトルがついているではありませんか。
他の2巻も多分、そうだったのでしょう。(未調査)
で、それがこの一件関わりのない生方先生シリーズで描いているテーマに
関わっているのかも。
ま、全体としては大雑把すぎますが「家族」というか「人の縁とは不思議なもので~♪」
みたいな流れがあるのかなとは思っていましたが、もちろんこの解釈があっているかどうかは
わかりません。
でもそう考えると今回の収録作品「青いドア」の中で生方先生が、後輩に語った
「人の縁というのは業なんだよ」というセリフが際立つような気がします。
今回印象的だったのは前後編で描かれた「世界の終わりにたった1人で」でしたが
人物相関図がかなり複雑で、4回ほど読んでようやく話の筋に入り込むことが
できた作品でした。
最初の印象はだから、??でしたが、読み込むほどにじんわりときました。
ここに出てくる女流画家・大津チズにはかなり惹かれるというか共感できるものがありますね。
逆に、千田父はよくわからない。
1度の結婚、2度の再婚・・・それがどうも相手や周りに流されただけと
見えるのは私だけかな。
千田父のキャラクターは作品中ではあまり深く描かれていないため
少々わかりづらい人物でしたが、無口で無骨な割には濃い目の女性たちに
愛され関わっているのが意外というか、面白いというか、腑に落ちない気が。
優しさ?ゆえなのか??でも優柔不断と表裏一体な印象。
千田父が幸せにできた人たちは数少ないですね・・・。
「世界最後の日、一人で海に立っていると誰かが後ろからあなたを呼ぶ。
振り向いたときにそこにいるはずの一番会いたい人は誰?」
・・・という心理テストがあるそうで、実は私、誰もいないかもと思ってました。
で、作品の中での大津チズさんもやはり同じ答えでした。
多くの方がそれはなんて悲しいことなのだと評しているようでしたが
私なりに言えば、それは投げやりとか忍耐とは違う、もっと浄化されたもの
という気がしますね。
うまく言えませんが、自分なりに折り合いつけた、執着を捨てるという
選択ができた・・・それは人生経験のなせる良き技なんじゃないかと、
私はそんな風に思いました。
大津チズさんが同じ心持ちで、口にしたかどうかは分からないけど。
このところの萩尾作品では、家族を描くことが多くてそれがまた一見
ほのぼのと普通っぽいのに、微妙に普通から外れていて、
そのわりにキャラクターがお気楽だったり、また絵的な面でもちょっと
馴染めないものもありますがやはり読後あれこれあとを引いて長きにわたって
考えさせるものを残して行ける数少ない作家さんだなと改めて思います。
スペースなくなってしまったけど、表題作とその関連の2作も良かったです。
特に魔物・スフィンクスが、オイディプスによって母性そのものになるシーンは
女性なら共感できると思う。
関係ないけど、ギリシャ神話なのに「仏心」という言葉が出てきたのが妙におかしかった。
スフィンクス (flowers comicsシリーズここではない・どこか 2)/小学館

¥530
Amazon.co.jp