定期的に行う書店・古書店巡礼中に見つけた本で、タイトルに惹かれて手にとったら
なんと村上春樹!!というわけで即・購入してまいりました。
内容は大きく分けて4つ。
1)大学教授でもある柴田さんの教え子を前に、村上・柴田が語る。
2)翻訳学校に通う生徒たちを前に、村上・柴田が語る。
3)村上・柴田が、カーヴァーとオースティンの作品1篇ずつを
それぞれが翻訳(競訳といえば良いのか?)。
4)プロの翻訳を前に、村上・柴田が語る。
・・・といった趣でふたりの対談およびギャラリーとの質疑応答が主たる内容です。
後半に行くほど実践的な方々が相手となるので、質疑内容もマニアックな
固有名詞が出てきたりと、ちょっと難しくなりますが、全編とおして
対話形式で書かれているので、読みやすいのは確か。
村上春樹の作品はそこに垣間見える、村上春樹の文学に対する姿勢とか敬意に
実は私は一番感動したりするのですが、今回もやはり感銘受けながら読みました。
もうこれは村上哲学!?ですね。
好きだから、興味があるから始めてみる。
基本から応用まで通学したり、専門家について学んでみる。
それでもモノになるとは限らない。
音楽・美術、あるいはスポーツなど考えてみれば何でももそうですが
指導者のもと指南を受けることよりはるかに重要なものがあるのだ、
とつくづく思うな。
我流であっても 自分自身を突き動かす情熱によって、
今持っていないものを凌駕できる何かがあるわけで・・・。
・・・ということから、この本は翻訳家を目指す人に有益な内容か?
と聞かれたら、さあて・・・と考えてしまいます。
あまり方法論的なことは書いていないし、なんというのかな・・・読めば
お分かりいただけるのですが、翻訳だけに限らず「こういう時はどうしたら
良いのですか?」とか「こうするには何をしておけば良いのですか?」
という疑問を持つこと自体が、正直もうその人はあまりその職業には
適していないんじゃないかということを思ってしまいました。
こう書くと身も蓋もないけど、我が身を返り見るとそう思うよ・・・やれやれ。
村上春樹自身が何よりも翻訳に対して愛を持っていると書いていましたが、
その愛と、あとは行動力、そして当たり前ですがたゆまぬ努力って気がしますね。
私には愛はあるけど、あとの二つが欠けているのだ・・・。
敵う(叶う)はずはないなと思います。
でも、今回は自己反省は別のところですることにしようっと、キリがないし。
考えてみれば苦手と思っていた村上春樹を見直すきっかけとなったのが
村上翻訳の「グレート・ギャツビー」を読んだことからだったことを思いだしました。
この対談の頃はまだ村上春樹にとっては、フィッツジェラルドもサリンジャーも遠い話、
いつか翻訳してみたいとご本人が熱を込めて語っていたのが印象的でした。
DREAMS COME TRUE.って感じですね、今になって読むと。
ふたりの競訳2篇の読み比べもまた楽しかった。
原文ももちろん掲載されており、わからない単語が多少あってもなんとか
私レベルでも感触はつかめる程度のものでした。(訳せないけど)
なんといっても、これは日本語にしたらどんな感じなのだろう?と思ったときには
ちょっとページを繰れば、村上・柴田それぞれの日本語訳が掲載されていて
速攻でそれを確認できるという親切設計。好みの翻訳家を選ぶもよし。
「星の王子さま」の新訳読み比べなどしていて、目的がなんなのか
わからなくなってしまったことは何度か書きましたが、そのあたりに
ついても自分なりに整理がついたというか納得できたし、読んでよかった!
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ギャツビーは中学生か高校生のころ野崎孝さん訳で読んでいたのですが
アメリカでなにゆえあれほどの高評価を受けているのか全く理解できなかった。
2009年に発売された甲斐バンドのアルバム「目線を上げろ」に収録された曲の
いくつかのイメージがこのギャツビーのイメージと重なり、どんな話だったを
再確認しようと野崎訳に改めて挑戦したものの、やはり理解できず・・・。
で、村上訳に・・・となったのでした。
あ、もちろん野崎訳は私にはぴたりとはまらなかっただけで、
この方も翻訳家として定評のある立派な方です。
どちらがいい悪いということではありません。念のため。
それにしても今回、柴田さんのことに一言も触れていませんでしたね。
仕方ないです。ごめんなさい。
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