何から書いていいのかわからないお話なので
考えているうちにどんどん忘れつつあるのでした。
1冊の厚さがかなりある上、全3巻。
でも読み出したら、次々と出てくる登場人物やらことがらが
一体どうなっていくんだろう?と興味津々で、合間合間に読んだ割には3日で読了。
岡田トオル(僕)は妻と猫と平和に暮らしている。
法律事務所に勤務していた僕は現在失業中で、主夫業みたいなことをしている。
妻は編集者。
まずは飼い猫の「ワタヤノボル(義兄の名)」がいなくなり、続いて妻クミコが
行方不明になってしまう。
いなくなってしまった家族を探すお話、と簡単に言えばそんな感じですが、
やはり村上春樹らしく、あちら側とこちら側、妙だけど独特の魅力や個性を持つ人々、
一見無関係の過去の戦争の話などと絡みあいながら、終結に向かっていきます。
これは前に「ダンス・ダンス・ダンス」の感想でも書いたことですが
その後またいくつかの村上作品を読んでみて、やはり思うのは
村上春樹は、立体作品を作る人のようだということです。
井戸を掘る、意識の深みに潜る・・・というようなことを河合先生との対談で
よく語り合っていらしたけれど、その作業が私には立体造形のように見えます。
ひとつの作品を書くことで少し形が出来上がり、そこでまた誰かと対談したり、
旅をしたりで新たに増えた道具を使って、違った形で掘り起こす。
その繰り返して村上春樹という立体作品の完成に向かっているように思えます。
完成作品の全貌はまだ本人自体もわかっていないとは思いますが
ある時ごとには、こうしたいという意識をもって、別の場所から
アプローチしてみたりと試行錯誤をしているような。
そしてそのどれかはある日、不要のものとして突然削られてしまうこともあるかもしれない。
あらすじ自体の表面を単に追うだけだと、私にはあまり好みの小説では
正直なかったです。
精神的、肉体的な暴力シーンが多いというのもあるけど、それよりも
やはり登場人物のほとんどに私がまったく共感できない、という感じ。
特に女性陣はいつもながら苦手なタイプばかり。
笠原メイちゃんは、たぶん人気キャラだろうとは思うけど、でもね~。
ただ彼女みたいな穢れを知らない巫女さんみたいな人が
村上作品には必要なんだろうとは思います。
それでも「アフターダーク」「約束された場所で」並みに
あとを引くものがある作品で、ちょっと困っているくらい。
さくさく読めたわりには、ワタクシクタクタです。
これも前に書いたことだけど、不思議にも村上春樹の小説はどうも
フィクションとして読めないことが多いのです。
もっと、身近にさもありそうなほかの作家の作品は「小説」と思えるのに。
現実の方がありそうもない偶然が起こることが多いと、河合・村上対談に
あったけど、私もそう思える素因みたいなものを持っているのかもしれません。
なんだろう、それは???
村上春樹の長編も残すところ「海辺のカフカ」「IQ84」のみとなりました。
でもしばらく時間をおくことにします。
結構「ねじまき鳥クロニクル」ヘビーだったのです、私には。
他の皆さんがどんなレビューを書いているのか、これから探索してみようと思います。
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