先に読むことにした本。
短いものをまとめたものなのと、どれもなかなかのできばえで
最初の懸念もなんのその、あっという間に読み終えてしまいました。
南欧のイタリア・ギリシャをメインにヨーロッパ紀行を描いたもの。
すでに読み終えてから1週間以上経ってしまったので、もう多くのことを
忘れてしまいつつありますが、良い読後感でお気に入りの1冊になりました。
紀行文とはいえ、前書き・後書き、そして合間にはさまれた村上春樹の
世界観とか人生観がとても良かった。
同じようなラテンの国で暮らした経験から、わかるよ~と思う部分も
多々あって面白くもあったけれど、なんとなく私には物悲しさが残ってしまった。
悪い意味でのもの悲しさではないのですが・・・これをどう説明すればよいのやら。
ひとつ所に根を張らず、漂うように生きていたいと思う。
それは昔から思っていることなんだけど、そうなったらなったで
やはり自分が碇を下ろす場所もまた求めてしまうというこの矛盾。
海辺や教会や小さな集落を描いた文章では、自分の見たいくつかの風景が
オーバーラップしてくる。
たった一度すれ違っただけなのに、妙に印象に残っている人や動物、町。
それらが今いったいどうなってしまっているのか・・・同じ地球のどこかで
その私にとっては名もないものたちが、やはり生きているということが
信じられない気分。
深夜特急もそうだったけれど、こういういい文章を読んだ後は
地団太ふみたくなるような、物足りない感でいっぱいになってしまう。
また読みます、これからも何度でも。
遠い太鼓 (講談社文庫)/講談社

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ねじまき鳥に備えて、下記の一部も再読しました。
ねじまき鳥クロニクル2巻を書き終えたばかりの村上春樹との対談。
深くて難しいけど、やはり面白い。
これ以上の望ましいやりとりはどちらにとってもありえないと思えるほど、
良い相性の二人。
こころの声を聴く―河合隼雄対話集 (新潮文庫)/新潮社

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「ノモンハン事件」に関する部分だけを再読。
辺境・近境/新潮社

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