「スプートニクの恋人」  村上春樹 | MARIA MANIATICA

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本ですかね。解りきれなかった本、面白かった本・・・共感だけでなく
そんな考えもあるのか・・・なんてことならいくらでも・・・。

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6月の1冊目は、久々の村上春樹です。タイトルがいいですね~♪

まず「ノルウェイの森」と「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を
連想しました。
3人の登場人物の関係と、パラレル・ワールドが、そうさせるのですね。
ただそのパラレル・ワールドは「世界の終わり・・・」ほど明確に描かれてはおらず、
どうやらそういう世界もこの小説内の見えないところにあるらしい、という感じ。

登場人物のこの3人でセットみたいなパターンは、村上春樹様式のひとつのように
思うけど、このパターンが実は私の好みではないのです。
どの人物についても、全く魅力を感じることができない。
それは「ノルウェイ」についても同様で、ずいぶん身勝手な人たちというのが
この系統のものを読むたびに残ります。

ミュウが野生児のようなすみれを、自分の好みに変えていったこと、
すみれがミュウへの愛ゆえに、その指示に従っていったこと、
わずかな変化ではなく、ほぼ180度の転換だと思うのだけど、
それでその先々幸せが続くんだろうか?と思ってしまった。
それまでのすみれの突っ張り具合はなんだったんだろう??と。
失踪してきたすみれが最後に戻ってくるのは、そのことと
関わりあるような気が私にはしました。
ミュウのところには多分、戻らない。

細かいことを挙げるといろいろ腑に落ちないことはほかにもありますし、
特に後半の文章はとても抽象的でわかりづらくもあった。
ただ、それを凌駕する表現のすばらしさに注目すると
そういうことはどうでも良くなってしまう。
今回は特にそうだった。

線を引いたり、付箋をはさんだりしておきたい表現がいつも以上にあって
・・・・今度からはそうしよう・・・う~ん、やはりこういうところが
私が村上作品を読み続けることになった魅力なんだな~、と思いつつ読み終わりました。

特に、村上作品にはたびたび、主人公の本に対する姿勢、かかわり方が
描かれていますが、実はそこに何よりも惹かれるものがあります。
具体的な読み方としてもそうなのだけど、もっと深い、内面的なこととの
関連性というか・・・うまくいえないけれど、私の場合、ここにこそ
「孤独」というものをひしひしと感じて、この感受性にじ~んとしてしまう。
その部分は何度も読み返すことになる。
ストーリーよりも・・・というと小説としての存在は?となってしまうだろうし、
それに明確に答える術は持たないけれども、ストーリー以上に魅力的なものが
内包されている作品のように思いました。
本題とは相当ズレいるんだろうけれども。ま、い~じゃないか。


ごくシンプルに見える小説にだって、好き嫌いをはじめとした感想の違いが
あるのだから、こういうどのようにもとれるタイプの小説を、他の誰かが
どのように感じたのかを知りたいし、語りたいと思います。朝まででも。
そこから広がる世界が好きだ!


スプートニクの恋人 (講談社文庫)/村上 春樹

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