「マグネット」    山田詠美 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

山田詠美、久しぶりに読みました。

9編からなる短編集ですが、統一感がないように思えたのは
あちこちの雑誌からの抜粋だからなのか?

好きなものと、そうでないのが半分ずつくらいだったけど
詠美作品を読んだときに感じる「おおお!そうそう!」という
あの共感というか喜び、みたいな感動そのものがほとんどなかった。
若者のイマドキのことばは山田詠美には似合わない。

さまざまな罪のお話し。
罰せられた人もいたし、そのままの人もいた。
いろいろなドラマがあるのですね、この世の私のあずかり知らないところでは。
でも結局自分の目の届く範囲のことしか考えることはほとんどない。
たとえばお隣で殺人が起こったとしても一生気がつかないこともあるかもしれない。

なんというか、自分の意思で生きているようでいても、
やはり大きなものの手のひらで、あくせくしているだけの
小さい存在にしか過ぎないという気がしましたね、人間って。

山田詠美自身が、村上春樹と自分の読者がかぶることはないだろうと
書いていたことがあったけど、私はこのふたりのベースはとても
似ていると思うなあ。
今日この作品を読んでますますその思いを強くしました。


マグネット/山田 詠美

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