「中国行きのスロウボート」   村上春樹 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

村上春樹の初の短篇集。
少し時間がかかりましたがようやく読了。

羊男・井戸掘り・偶然知り合った女の子など、後の作品でも関わり続ける
キャラクターやら人物の存在、そして(私には)現実味を伴うことのできない
女の子との関係などがあることをここでも確認。
自分の世界を確立するための、あるいはまた長編への習作にも見える。

作品については正直わからないこと、理解できないことが私にはたくさん
あるけれども、それは考えないようにして色彩感のある文章を楽しみました。
なんとなく悲しげで意味深なのに、よくワケガワカラナイ最初の3つの短篇は特に。
ある曲を思い出して浮かぶのは、全くその曲の歌う内容とそぐわないというのは
よくあること。何か記号的なものであって、内容との関連性はないのではないかな。

「午後の最後の芝生」が、圧倒的に良かった。
悲しいほどお天気!という名言(名タイトル)を思い出す。

横文字の音楽しか似合わない若き日の春樹ワールド。
ここでの中国も大陸・中国ではなくて、海外のどこに行っても
必ず存在する中国以上に中国的なチャイナ・タウンのイメージがする。


さあて、いよいよ「世界の終わりとハード・ボイルドワンダーランド」です。


サー・マッカートニーが歌う「中国行きのスロウボート」
「知ってる?B♭でね」、音楽野郎のこういう世界が素敵で羨ましい。





中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)/村上 春樹

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